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ご存知の方も多いと思いますが、江田島には教育参考館と呼ばれるいわゆる海軍博物館があります。

一般の方も見学できるのですが、定時見学は学校施設全体を1時間30分という制限で見学することになるので、教育参考館に割ける時間はもっと少ないものになります。

私自身も入隊前に一度見学に訪れたことがありましたが、教育参考館の展示内容に比べて時間が少なく消化不良を感じた経験があります。

詳しい展示内容や見学方法については、海上自衛隊第1術科学校のホームページを参考にしていただければよろしいかと思います。

 

幹部候補生学校に入校して比較的早い時期に見学の時間がとられたように記憶していますが、それ以外にも何度も訪れています。

なんといっても同じ敷地に住んでいるのですから。

中級水雷課程学生として江田島に帰ってきて、再び教育参考館を自由に見学できる機会が巡ってきたのです。

ここは、日常生活の中で埋没しがちな初心を思い出させてくれる場所なのです。

 

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入館して見学順路に従って進んでいくと、幕末から明治大正昭和と日本海軍の変遷が分かるようになっています。

そういう展示を見ると、先人がいかに苦労を重ねて海軍を創設し、継承してきたかということに胸が熱くなる思いがします。

そして、自分が間違いなくこの継承の系譜の中に属しているのだ、という思いを新たにするのです。

 

この教育参考館において、最も時間を割くのは『特攻隊員の遺書』です。

何度となく同じ手紙を読み返してみても、常に新鮮な感動を与えてくれます。

彼らが何故、特攻という自己犠牲に従容として身を捧げることができたのか?

その答えがここに全て書かれているからです。

 

特攻隊員に対し『国や組織から死を強要された犠牲者』などど喧伝する人や組織がありますし、そういう側面が皆無だったとは思いません。

しかし、この手紙を読めば彼らがどういう気持ちで自己の死という最大の困難に立ち向かっていったのか分かるはずです。

多くの手紙には、自分を生み育ててくれた両親への感謝の気持ち、幼い兄弟や我が子の未来を守りたいという願いに溢れています。

そういう自分の愛する者たちが暮らしている日本という国を守りたい。

それが彼らに共通する心情ではないでしょうか。

私は国家のためとか、軍のためとか、主義主張などという概念的なもののために、人は死ぬことはできないと考えています。

つまり、それは陶酔であり、錯覚に過ぎないのだと思うのです。

 

私たちの現在があるのは、彼らを含めた多くの軍人、民間人の犠牲の上にあるのだということを決して忘れてはいけません。

私たち現在の日本人は、間違いなく彼ら先人たちの系譜を継承するものなのです。

教育参考館は、そういう当たり前の、しかし、最も重要なことをしっかりと思い出させてくれる場所なのです。

 

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