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中級水雷課程のカリキュラムには、潜水艦実習が計画されています。

中級水雷は『対潜戦のエキスパートを養成』する課程ですから、敵を理解する上で重要な実習の一つなのです。

同じ中級水雷の学生にも潜水艦出身者が2名おり、教務の合間に雑談するだけでも

「戦術に関する知識が豊富だなあ」

と感心することが多かったのですが、この潜水艦実習において更にその念を強くしました。

 

幹部候補生学校時代にも潜水艦実習を経験していますが、

『来た、乗った、潜った、食った、寝た』

というレベルのものでした。(体験乗艦の域を出ないレベルですね)

今回は中級学生の実習ということもあり、戦術訓練を中心にたっぷりと技術を披露していただきました。

その感想を一言で言えば、

『この人たちが味方で本当に良かった♥』

ということです。

それぐらい日本の潜水艦部隊は精強だと感じました。

仮に彼らと真剣に戦闘を行ったとすれば、日本の潜水艦1隻を撃沈させるために、護衛艦が何隻撃沈されるのかを考えるだけで憂鬱になります。

ましてや潜水艦の魚雷にやられると、恐らく最初の一撃で首の骨を折って即死、仮に無傷だったとしても、数十秒後には艦と一緒に海底ツアーに旅立つことになります。

総員退艦のいとまは、ほとんどないでしょう。

 

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戦術的な内容はあまり紹介できませんので、生活環境などについてお話しします。

私達実習学生はイレギュラー(員数外)な存在ですので、寝床は魚雷格納庫の仮設ベットとなります。

特に私の割り当てられたベッドは、魚雷を抱き枕のように抱えられる位置にありました。

試しにへばりついてみると・・・

「冷たくて、チョー気持ちいい♪」

・・・という訳で快適に就寝できました。

 

「中級の皆さん、焼き方はどうしますか?」

昼食が近づいたころ、調理員がわざわざ確認に来てくれました。

そうです。その時の昼食はステーキだったのです。

護衛艦でもステーキが出ることはありますが、士官室に配膳される頃にはすっかり冷えていることが多く、正直あまり好きではありませんでした。

しかし、さすがに潜水艦は食事にかける情熱が違います。

潜航中は外の景色すら見れず、食事だけが楽しみだとは聞いていましたが、まさかここまでとは。

焼きたてということもあって、味も最高でした。

 

この実習において何よりも印象的だったのは、艦全体のアットホームな雰囲気についてでした。

潜水艦や掃海艇などは、乗員の数が少ないこともあり、非常に雰囲気が良いと言われていますが、まさにその通りでした。

それと同時にそういう艦や部隊は極めて精強なのです。

護衛艦部隊の私から見ると羨ましくもあり、見習うべき手本でもあると感じました。

「本当に強い艦とは、どうあるべきか」

ということについて大いなるヒントを得た実習となりました。。

 

最後に、実習が終わって上陸すると皆から振り返られるので何だろうと思っていましたが、家に帰って洗濯しようとしてバックを開けて、その強烈な臭いに気が付きました。

潜水艦の艦内は、ディーゼル油、バッテリー液、各種潤滑油、調理臭、トイレ臭などの混合臭で充満しています。

乗艦中はすっかり麻痺していて気が付かなかったのですが、バックから作業服を取り出した時の臭いたるや・・・想像を絶するものがありました。

あれ程の劣悪な勤務環境で日々任務についている潜水艦乗りに、改めて尊敬の念を強くしたのであります。

 

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