海上自衛隊らしい訓練といえば、やはりカッター訓練でしょう。

初めはカッターと聞いても何のことやらわかりませんでしたが、要するに多人数で漕ぐボートのことです。

 

しかし、このボートの櫂(オール)が無茶苦茶に重たいのです。

最初のころは、要領が分からずやみくもに漕ごうとして腕がパンパンになりました。

防大出身の同期達は4年間ずっとやってきているので、

「腕で漕ごうとするな!」

「腹筋で漕げ!」

など、自分たちが防大1年生の時に上級生から指導されたことを優しく(ウソ)教えてくれます。

 

腕を伸ばし体を前方に倒した状態で水中に櫂を入れ、後方に上体を反らし水中を漕ぐ、櫂を水面から上げると同時に腹筋で上体を戻しつつ、櫂を前方に突き出して最初の姿勢にもどる。

文章にすれば、これだけなのですが一漕ぎ毎に疲労が蓄積するのを感じます。

正しく漕げば腹筋がピクピクしてきます。

 

このカッターにも右利き、左利きというのがありまして、最初に各人両方漕がせてみてより漕ぎやすいと感じた方を自己申告してポジションを決定していきます。

私の場合、幸か不幸か左右両方ほぼ均一に漕げてしまい、11番12番兼用のストロークに任命されました。

ストロークの役割は、後ろの漕ぎ手がリズムを掴めるように正確に漕ぎ続けることが要求されます。

その代り櫂を深く入れてしっかり漕ぐ必要はないので、筋力的には疲労が少ないといえます。

 

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お尻から出血

最初に腕や腹筋がつらいとお話ししましたが、実はもっと重大な損傷個所があります。

それはお尻(正確には尾てい骨付近)の皮がむけるということです。

 

木の板に腰かけた状態でお尻を基点して激しく前後に運動するのため、過去の生活で鍛えようのないお尻の皮が無残にもすりむけてしまいます。

対策として野球部のスライディングパッドを履いてみたりしましたが、解決には至らず、すりむいて治りかけてまたすりむいての繰り返しとなります。

 

そのうち段々と尻の皮も厚くなりむけなくなってくるのですが、夏場にかけては傷口が化膿しやすく苦労しました。

夏服は白いズボンなので、汁が出てくると洗濯が大変なのです。

 

また、傷口を自分自身では消毒したり薬を塗ったりできないので、四つん這いになった状態で同期に薬を塗ってもらうことになります。(経験上赤チンが一番効きます)

皮が薄く、神経も集中している部分なので相当にしみます。

 

ということで部屋のあちこちで四つん這いになった同期が絶叫しているという地獄絵図が繰り広げられるのです。

もっともそういう稀有な体験だからこそ、今でも懐かしく思い出すことができるし同期会でも話に花が咲くのでしょうね。

 

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