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私が入隊する前に一番知りたかったのは、実際にどんな生活をしているのかということでした。

しかし、当時はインターネットも携帯電話も普及しておらず情報がほどんどありませんでした。

そこでざっくりとある一日を再現してみましょう。

 

06:00 起床(冬季は06:30)

ラッパと同時に(正確にはラッパが鳴りやんでから)ベッドから飛び起きて、毛布をたたみ、作業服に着替えつつ走ってグランドへ向かいます。

ちんたらやっていると通称「赤鬼、青鬼」と呼ばれる幹事付から怒声を浴びることになります。(寝具の整頓状況が悪いとこれまた怒声が飛んできます)

また、ラッパが鳴る前にベットの中で靴下を履いたりしていると(フライング行為)、しっかり見つかって怒声を浴びることに・・・

 

グランドに到着したら上半身裸になって大声で号令調整(静かな島内に声が響き渡ります。島民の皆様の目覚まし時計です)

そして乾布摩擦(冬雪が降っても上半身裸で正直寒いです)を行います。

時間を見計らって当番の号令に従い海上自衛隊第1体操を行います。

とにかく朝一番から尋常ならざる大声で一日が始まるのですが、この様子を見聞きした隣接の第一術科学校に入校中の海曹士などは

「絶対にあのキチ〇イ学校だけには行きたくない」

と決意を新たにするようです。

海上自衛隊は陸空自衛隊と異なり、幹部への昇任意欲が低い組織です。

艦艇勤務の初級幹部を見れば、その過酷な勤務状況に嫌気がさすのでしょう。慣れてしまえばなんてことないのですけどね。

この後、甲板掃除(学校なので普通の掃除と何ら変わりありませんが、海軍用語として掃除全般を甲板掃除と呼んでいます)を行い、朝食、ベッドメイキング、服装容儀(アイロンかけ)などを済ませます。

アイロンは寝室に2つ設置されていました。

30人に対して2つしかないということは、皆が集中しない時間帯に使う工夫が必要となってきます。

私の場合、朝食をカロリーメイトで済ませて、ベッドメイキングや服装容儀に全力を投入していました。

でも、本当はそれじゃだめなんですよね。

やることを全てやって時間の枠内に収める訓練でもあるのですから。

違う意味で要領を追及することに、全力を挙げる候補生だったと反省しています。

 

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08:00 国旗掲揚

全ての在校生が校舎前に整列し、国旗掲揚後、服装容儀点検や当番による5分間講話を行います。

その後ラッパによる行進で教場へ向かいます。

教場へのルート上には各所に教官が配置されており、歩調や手の振り方、目線などあらゆる角度からチェックされ怒声を浴びます。

それも最初の1~2か月だけで、その後ほとんど怒鳴られることもなくなります。

それが上達によるものなのかは微妙ですが。(最初から期間限定の可能性あり)

 

08:20(12:00) 教 務

座学や教練などその日のカリキュラムによります。

慣れてくると不動の姿勢で着席したまま、かつ目を開けた状態で意識を飛ばすことができるようになります。

しっかりと教務に集中していなかったことが原因で、後の実習や部隊勤務に影響を及ぼすことに・・・

 

12:00(13:00) 昼休み

昼食を食べた後、寝室の確認に向かいます。

朝のベットメイキングが悪いと幹事付からベットをひっくり返されているため、大丈夫かどうか確認する必要があります。(窓から外に捨てられていることもあったとか!?)

 

13:00(15:45) 教 務

金曜日の午後の座学は極めて厳しい状況になります。

金曜定番メニューのカレーには、ターメリック(ウコン)が含まれており、体を温めてくれる成分による睡眠誘導作用が働くからです。

教官が入室されると当番の号令で直立し敬礼、教官に「つけ」と言われて着席しますが、同時におしりについているスイッチもOFFになってしまい午前中と同じ状況に陥ります。

 

 

16:00(17:30) 別 課

各自の選択した部活動に参加します。

私はサッカー部に所属していました。

一日中英気を養って温存した力をここで全開、そして全消費します。(これが間違い)

中学、高校、大学と部活動には無縁で過ごしてきましたので、青春のやり直しという意味で全力を傾注したのです。

 

19:00 甲板掃除

しっかり掃除していないと巡検時に大変なことになります。

 

19:30 巡検、自習

当直士官、学生当番、幹事付が各分隊の自習室を巡回してきます。

この間椅子に座って不動の姿勢をとり私語は一切禁止です。

受け持ちの掃除区域が汚れていたりするとやり直しとなります。

また、不動の姿勢がとれずふらついていると(寝ていると?)怒声が飛んできます。

幹事付が礼装用の白手袋で黒板の上側をそっと拭い

「・・・俺の白手を汚す気か!?」

と言ったとか言わなかったとか。

さすがに

「トイレを舐めてみろ」

なんてことはありませんでした。

巡検終了後は消灯まで約二時間の自習時間で、予習復習及び試験勉強など行います。

全ての教務に対して筆記試験が行われますから、ほぼ毎日試験勉強に追われている時期もあります。

日頃の教務で睡眠学習している帳尻をここで一気に合わせるための重要な時間なのです。

優秀な同期のノートは良くまとまっており、どこが試験に出るのか一目瞭然なので、後は記憶するのみです。(丸暗記には自信あり)

 

22:00 消 灯

申請すれば延灯(23:45)できますが、私は定時消灯派でした。

21:50にはベットに潜り込んで、消灯ラッパを聞きながらウトウトするのが至福のひと時なのです。

現在の候補生学校では寝室も少人数(4、5人)みたいですが、当時は30人分のベッドが並べられた大部屋でした。(婦人自衛官は別棟)

個人的にはこの大部屋が最高に気に入っていました。(毎日が修学旅行みたいで・・・)

いびきや歯ぎしりなどの大合唱で夜中に目を覚ますこともありましたが、いくつかの黒い影が騒音の発生源に向かって近づくと同時に

「ボカッ!」「ドスッ!」「うっ!!」

など枕でぶん殴る音とともに、辺りは再び元の静寂を取り戻すのでした。(メデタシ、メデタシ)

 

起床から消灯まで常に教官等の目を気にしながらの制約された生活ですが、そんな中で得た5分10分の自由な時間がとても貴重で価値のあるものでした。

人間は際限なき自由の中では、本当の自由の有難さが分からないものだと痛感しました。

 

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