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1992年3月25日、大学の卒業式を終えたその足で、広島県江田島市にある海上自衛隊幹部候補生学校へと向かいました。

江田島には一度訪問していたため(試験合格者に対し事前見学会が実施された)、道中も不安はありませんでしたが、いざ自分がこれから一年を過ごすのかと思うとやはり緊張するものです。

この日は学校の敷地内にある江田島クラブ(自衛隊の宿泊施設)に泊まり、明日の着校に備え、娑婆(一般世間)との名残を惜しみます。

 

翌日、いよいよ自衛官としての第一歩です。

有名な赤レンガの校舎内にある分隊(クラス)別の自習室(教室)に案内されると、そこにはあの五省が掲げられていました。

『自分も正に歴史の一舞台に立っている』

そういう厳粛な気持ちになりました。

この時点では、防大出身の人達は着校しておらず、一般大出身者と部内からの選抜試験合格者だけが集合している状態でした。

半分空いた席を眺めながら「防大生ってどんな感じなんだろ?」と思っていました。(マッチョでエリートな先入観を持ってました)

 

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簡単なオリエンテーリングで今後の予定について説明があり、被服等の貸与が行われます。

全て支給されると思ってほぼ手ぶらで入校しましたが、さすがに下着は支給されずあわてて売店(PX)に買いに行くはめに。

(てっきり錨のマークがついたパンツが支給されるものだと思ってました)

この他にも洗面器、スリッパ、タオル、石鹸等々買うと結構な金額となり、所持金2千円しか持たず入隊した私は会ったばかりの同期にお金を借りてなんとかしのぎました。

(入校案内に手ぶらで来るように書いてあったと思うんだけど)

改めて身体検査(おしりにガラス棒を突っ込まれるなど、カルチャーショックを受ける)を済ませ、強制的にスポーツ刈りに整髪され、支給された制服を着ると・・・見た目だけは幹部候補生の出来上がりです。

 

ひととおり整理がついたところで、最初の訓練となりました。

それは敬礼です。

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海上自衛隊式挙手の敬礼は陸上(航空)自衛隊のように肘を90度横に突き出す敬礼ではなく、斜め45度にちょっと腕をたたむようにして行います。

これは狭い艦内で邪魔にならないように旧海軍時代から受け継がれている敬礼です。

正しい敬礼の仕方としては

右斜め45度に肘を出し
指先をまっすぐにのばした状態で
手のひらを少し内向きに(相手に手の平が見えないよう)
人差し指と中指の段差部分を帽子のつばに付ける
この動作を1挙動で行います。

 

しかし、やってみるとこれが意外と難しく、二人一組でひたすら敬礼をしては相手の敬礼を矯正する訓練を続けます。

他にも無帽の時に行う10度の敬礼、姿勢を正す敬礼等を3時間ほど行いヘロヘロになった記憶があります。

なぜ、これが最初の訓練なのかというと、数日後に行われる入校式で必要不可欠であるからです。

この時の訓練がよほどきつかったのか、翌朝最初の脱落者(退職者)がこの覚えたての敬礼で学校を去っていきました。

 

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