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私の海上自衛官生活の中で唯一の陸戦訓練です。

秋に広島県原村にある陸上自衛隊の演習場で大規模な陸上戦闘訓練(模擬戦)が実施されます。

 

これに備えて、夏休み明けから本格的な陸戦訓練が行われます。

夏休みは実家に帰ってのんびりと(怠惰な)生活を繰り返していた私にとって、いきなりトップギアの陸戦訓練はかなりこたえました。

 

灼熱のグランドに64式小銃を持って這いつくばりほふく前進、そして立ち上がって突撃を繰り返していると意識が朦朧としてきます。

「・・・海上自衛隊にしておいて良かった。陸自・・・スゲー」

そんなことを考えながら隣の同期をみると、目がイっています。

「おい、大丈夫か?」と聞くと、

「・・・もう、我慢できない。・・・水、飲むわ」

と同期。

「ちょっ、待てって、やばいぞ・・・」

と止める私を無視し、伏せたまま水を飲む同期。

 

しかし、同時にこちらに向かって教官がダッシュしてくる足音が・・・

「貴様っ!!!その水は部下の水だー!」

「戦死、戦死、戦死っー!」

持っていた指揮棒で同期のヘルメットを滅多打ちにする教官。

 

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しかし、戦死したその同期は滅多打ちにされながらも、水を飲んだ満足感で口元には笑みが・・・(その後、エンドレスの腕立て伏せが待っているとは知らず)

要するに我々が腰に下げている水筒に入った水は、部下に与えるもので自分が飲むのもではないという建前なのです。

幹部自衛官はやせ我慢しろということです。

できれば、自分用の水筒をもう一つ持ちたいなあ。

 

そして原村へ

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江田島からゲタ船とトラックに詰め込まれ、ひっそりと本土の原村に運ばれます。

頭の中ではドナドナがリフレインしています。

 

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馬小屋のような野戦宿泊施設に到着し、気分は更に下がります。

普段はあれ程つらい江田島生活も、こうなると天国です。

きれいなベッド、清潔な食事、毎日入れる風呂・・・なんて素晴らしいのでしょう。

 

・・・嘆いていても始まらないので、現実を見つめましょう。

原村では、攻撃部隊と防御部隊に分かれて陣地攻略模擬戦が行われます。

私は攻撃部隊に所属となりましたので、顔にドウランを塗って夜戦に備えます。

 

銃は持たずに爆破と書かれた荷札を持って、相手陣地に侵入し取り付けるのが任務です。

日没前に、突入成功を祈願して1本のタバコを回し飲みすると気分はちょっと高まってきます。(日没後はタバコの火と煙が目立ってしまうので)

 

3時間ほどかけて敵陣地を大きく迂回して、裏側の急峻な崖を登り機会を伺っていましたが、

「・・・守備兵が多すぎる」

守備は守備のみ、攻撃は攻撃のみというルールであるため、守備側は陣地付近に縦深配備でびっしり固めておけば良いわけです。

 

他の攻撃班が突入したのを機に、我々の班も手薄になったと思われる地点に向かいましたが、そこにもびっしりと敵の歩哨がいて存在を露呈するに至りました。

懸命に脱出を図るものの、途中落とし穴(そういえば教官が山芋掘りの金属棒を持っていたことを思い出す)にはまり、身動きができなくなりました。

 

次第に近づいてくる敵の歩哨・・・

呼吸を制限してじっと耐え忍んでいましたが、やがて銃口を突き付けられ誰何を受け、そのまま捕虜として連行されました。

 

・・・弾が入っていないとはいえ、銃口を突き付けられるというのは極めて不快なことだと実感いたしました。

連行されて敵の本部に拘束されて、改めて辺りを見渡してみると

「・・・いやー、絶対侵入不可能だ・・・」

ということがよく分かりました。

やはり、ルールに問題があったと思います。

 

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