今でもあまり思い出したくない航海実習とはどんなものだったか?

まとめて紹介します。

最も苦しんだ天測訓練

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GPSやレーダーが発達した現在においても、不測の事態(全ての機器が電力喪失?艦が沈没したのち救難いかだで漂流?)に備えると同時に、船乗りの本分を維持するというノスタルジックな理由(管理人主観による)に基づき天測訓練が行われます。

概要を説明すると、日没時や日出前の薄暮時に任意の恒星(1等星)を3点測定し、その測定高度の値を基に天測計算表を使ってFIXを求め現在位置を算出する。

言ってしまえばこれだけなのですが、慣れないうちはどの星が何であるかを特定するのが難しいのです。

また、1等星を探して水平線に下ろしてくる(高度を測定)ために、日出没時に機材を持って待機する必要があるため、睡眠時間を犠牲にしなければなりません。

例えば深夜0時から2時まで当直だった場合は、4時ごろには起こしてもらって機材を準備し大体の予想をつけた方角を見ながら星を探さなくてはいけません。

測定が終わったら、その結果を計算するのですが、文系(文学部)出身で自他ともに認める数学嫌いの私(海上自衛隊は理数系素養が要求されることが多い)にとって苦痛以外のなにものでもありませんでした。

得意な同期がサッサと計算を終わらせて休憩するのを尻目に、いつまでも計算表とにらめっこする毎日でした。

天測計算はこの後も、護衛艦等の運航資格である海技試験の必須科目であるため、部隊配属になって以降も苦しむことになりますのでとにかく良いイメージがありません。

ボーっと星を眺めているだけなら、ロマンチックなんですけどね。

 

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部署訓練

基本7部署と言われる訓練で、出港、入港、防火、防水、応急操舵(舵が故障した場合、状況に応じて人力等で航行を維持する)、霧中航行(視界不良状況で見張りやレーダー等の情報を基に航行)、でき者救助訓練(海中転落者を速やかに救助)のことを指します。

護衛艦に限らず、船乗りとして航海するうえで必須の訓練です。

基本的かつ重要な訓練ですので、実習の大半はこの訓練によって占められていました。(近年は戦闘訓練など実践的なものも多く取り入れられています)

同じ訓練であっても、日替わりで異なった配置に就くため、それを予習するので手一杯になってしまいます。

しかも、艦橋配置の場合は重要な配置であること、また、多数の個艦幹部がいるためかなり厳しい状況に追い込まれることになります。

実際に部隊配属されてからは、自分の役割が固定されるため随分楽に思えました。

訓練の反省点を次の訓練に反映させることができるので、自分の技量が着実に向上するのを実感できます。

しかし、実習幹部はその場限りであるため、指導されたことを「申し継ぎノート」に記入して次の者に渡してしまえばそれきりとなってしまうのです。

 

操艦訓練

蛇行運動中の練習艦隊

 

陣形運動や蛇行運動など艦の運動に関する訓練です。

車やバイクの運転との最大の違いはブレーキがついていないということでしょう。

船は急には止まれないのです。

また、急には加速も減速もできません。

舵を切っても急には曲がれないし、戻しても急には元に戻れません。

これらの問題を解決するために、艦の運動性能諸元に基づき計算を行う必要があります。

操艦者(当直士官)は自分の運動を行うために、操艦意図を艦長に報告(必須)し、適切なタイミングを計りながら操艦号令を発します。

この操艦者を補助するために、副直士官が計算(運動盤による)を元にその時期(転舵点など)をリコメンド(助言)します。

また、測距儀と呼ばれる距離測定器を使用して基準艦との距離を測定して、増減速に関するリコメンドも合わせて実施します。

このように色々な役割を順番に交代しながら訓練します。

センスの有無によって上達の速さは個人差がありますが、部隊配属になれば場数を踏んでスムースに艦を運動させることが可能になります。

この記事は思いのほか専門用語が多いかもしれません。

いずれ専門用語解説を投稿します。(多分)

 

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