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勤務歴が長くなるにつれ、一定の人物評価というものがついて回ることになります。

海上自衛隊の艦艇幹部は、その特性上、若いころから各地方総監部地区を艦や配置を転々と変えながら勤務するからです。

過去の勤務ぶりや人柄について、人は驚くほど当時の印象を記憶しているものです。

そういう意味では、結構狭い世界だといえます。

 

人の噂を気にして上辺をつくろって勤務が続けられるほど甘い世界ではありません。

勤務状況が過酷なればなるほど、人間の本質がむき出しになってゆくものです。

そして、幹部は多数の部下から様々な視点によって常時観察されているのです。

どのような欺瞞もたちどころに見透かされてしまうのです。

 

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「今度来る艦長はいい人らしいよ」

「あー、昔〇〇で〇〇長だった人かぁ、知ってるよ。ラッキー」

「聞いた?次の〇〇長は〇〇が来るらしいよ!」

「嘘っ?最悪!!」

幹部の転出入が近づくと、艦内の至る所でこのようなゴシップが飛び交います。

 

若いころ評判が良かった人が、昇任に伴って重要配置に就任するようになると評判を落とすことはよくあることです。

人間の本質的な部分は何も変わらずとも、職責が増加することで厳しい態度を取らざるをえないという部分もあると思います。

それゆえ他人に対するのと同様に自分自身に厳しければ、誰からも非難されることはありません。

問題は他人に厳しく、自分に激甘というのが部下に見透かされる場合です。

そこそこ偉くなって誰も注意してくれなくなった頃が、一番危険なのかもしれません。

 

逆に若いころ評判が良くなかった人が、年齢を重ねるにつれ良い方向に変化するというのはあまり例がない気がします。

ここでいう評判とは人間性のことであって、仕事ぶりではありません。

初級幹部時代に全然仕事ができなくても、経験によって大きく成長する人はいます。

ですが、人間性に問題がある者が、別人のように生まれ変わる事例に遭遇したことはないということです。

 

性格と能力の組み合わせをあえて単純化してみると、

  1. 性格最高で、仕事もできる。(いうことないですね)
  2. 性格は良いが、仕事はできない。(結構残念な評価です。単なるいい人では指揮官とはいえません)
  3. 性格は悪いが、仕事はできる。(微妙です)
  4. 性格悪いし、仕事も最低。(問題外だか実在する)
  5. それ以前にほとんど存在感なし。(勤務環境によってはイメージが激変する可能性あり)

と分類できそうですが、良い悪いの基準は千差万別ありますので一概に判断できるものではありません。

 

『人は見かけによらない』

という格言の意味は、表面的な事象でその人物を評価するなということです。

ですが

『人は噂どおり』

というのも、意外と真理なのかもしれませんね。

『人の噂は七十五日』

ともいいますが、閉鎖的な社会では悪い噂ほど永遠に語り継がれる可能性を秘めています。

だからこそ、常日頃から己の言動に注意して勤務しなければならないと考えていました。

 

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