海上自衛隊、働き蜂の法則

 

あなたは『働き蜂の法則』

あるいは『2-6-2の法則』

という言葉を聞いたことがありますか?

 

元ネタについては諸説ありますが

イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートにとって提唱された

『パレートの法則』

というのがどうやらその元ネタのようです。

 

パレートの法則は

経済において全体の数値の大部分は全体を構成する内の一部の要素が生み出しているという理論

80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる

引用:wikipedia

というものです。

 

『働き蜂の法則』の方がもう少し具体的で

組織を構成する蜂(人間)のうち

 

よく働く蜂(人間)が20%

普通に働く蜂(人間)が60%

働かない蜂(人間)が20%

 

という内容になっています。

 

また

この中から『よく働く蜂』だけを抽出して組織を再構成しても

やがては同じ2-6-2の構成に落ち着くといわれています。

 

これは逆に『働かない蜂』で実験しても

同じ結果になるというのが興味深いですね。

 

今回はこの『働き蜂の法則』が

私自身にどのように適用されていたかということについて

過去の勤務歴から検証してみます。

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働かない蜂の時代

まずはここからのスタートとなります。

(我ながら、いきなりヤル気なしというのもどうかと思いますが)

 

皆がやる気と希望に満ち溢れて入学してくる幹部候補生学校

卒業と同時に3等海尉に任官し意気揚々と出発する遠洋練習航海

少し時期は離れますが

中級幹部になるための登竜門である幹部中級水雷課程

 

これら全ての教育課程において見事に

『働かない20%』のカテゴリーに落ち着きます。

 

理由は2つありまして

 

まず最初の一つが

周囲の人間のヤル気全開モードに当てられて

「・・・いや~自分は結構です」

という気持ちになること。

 

もう一つは

基本的に学生というのは

自分の成績にだけ責任を負えば良いということ。

 

これは自衛隊の学校だけに限ったことではなく

それ以前の高校や大学でも同じような思考に陥り

 

結果としてその思考から抜け出すのに

毎回大きな努力を強いられることになっていることを考える合わせると

最早『悲しい性(さが)』としかいいようがありません。

(いい加減に自覚しても良さそうなものである)

 

幹部候補生学校や遠洋航海で良い成績を収めれば

同期の中での序列(順番)が上位となり

必然的に出世しやすくなると分かっていても

自分自身が設定した必要最低ラインに甘んじてしまうのです。

 

将来的にガンガン出世していこうという野心もなく

途中で退職することをどこか予感していたからかもしれません。

 

他にも

皆が一つの価値観に集中して

「わーっ」と向っていくことに対する危機感のようなものが

潜在意識の中に根強くこびりついていて

ついつい物事を斜めに見る癖があるということ。

 

この性質が自分にとって損なのか得なのか

はっきりとは分かりませんが

過去の自分と向かうことによって

その性質の存在に気付くことができました。

 

いわゆる

『あまのじゃく』

ということなのかもしれませんね。

一転して働く蜂の時代へ突入

遠洋航海を終了し部隊配属されると突然

『よく働く蜂モード』に突入します。

 

このモード変更のトリガーはズバリ

『自分以外の者に対する責任が生じたこと』

に他なりません。

 

自分がヤラねば誰かに迷惑がかかる

という状況下に置かれると

一気にこのモードに突入するようです。

 

最初の部隊勤務においては

本来業務に加え各種係士官を多数兼務することになり

目が回るほどに忙しかったのですが

 

これによって逆に集中力が増し

僅かなスキマ時間も最大限に活用しつつ

業務を回すことに専念していました。

 

まあ

ぶっちゃけてしまうと

とりこぼした業務もたくさんあったと思いますが

そこは周囲の先輩がさりげなくフォローしてくれていたんですね。

自衛隊はそういうところが実に暖かい組織ですから。

(注:あくまでも使用者個人の感想で全員に同じような効果が現れるとは限りませんw)

 

この

『オレガヤラネバダレガヤル』的なヤル気モードには

この後の勤務においてもたびたび突入しています。

 

分隊長配置

航海長配置

陸上部隊における主任教官配置

『戦闘守則』策定時(戦闘訓練指導を含む)

『年度業務計画』策定時

 

ざっと振り返ってみるとこんな感じでしょうか。

 

やはり自分がやる以外に代替が利かないという

共通点があるようです。

 

一旦このモードに突入すると

自分の中に眠っているなけなしの真面目成分を

総動員して勤務に精励するので

当該配置の任期満了時に感じる

虚脱感というか疲労感は半端ないです(笑)

 

しかし

同時にやりきったという充実感も相当なものです。

普通に働く蜂の時代

これは上記2つの時代以外ということになりますね。

 

サボっているわけではないけど

猛烈に働いているわけでもなく

比較的勤務をエンジョイしている時代です。

 

やはり

常に全力モードでは疲れ切ってしまうので

抜けるところでは無意識に抜いているんですね。

 

とはいっても

部隊勤務において『働かない蜂』モードに突入しないのは

そこにわずかながらでも矜持があるからなのでしょう。

この記事のまとめ

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自衛隊では転勤が多いので

その時の配置や環境によって

同じ人物でありながら違うモードに突入することがよくあるといえます。

(きっと自分だけではないハズ)

同じ人物の評価が配置によって変わってくる理由は

そこにあるのでしょう。

 

また

私のような凡人クラスの幹部であれば

このようにモードを変えることも可能ですが

(と勝手に解釈していましたが)

 

真に優秀な人たちは

常にトップギアで走り続けなければなりません。

その覚悟と不断の努力は凄まじいものがあります。

 

ただし

当の本人たちは

それを当然のこととして受け入れているようで

半ば無意識であるのかもしれません。

(そこが優秀と呼ばれる由縁なのでしょうが)

 

最後にもう一つだけ

もしあなたが組織のトップであったり指導者であると仮定して

『働かない蜂』の対応に悩んでいるならば

その人の配置や所属など環境を変えてみることをお勧めします。

意外と別のモードに切り替わってくれるかもしれませんよ。

 

それができなければ

その人が違う環境に移った時に

『よく働く蜂』にモードが切り替えられるだけの実力を

つけてあげて欲しいと思います。

(多少強引に口を開けさせてもです)

 

まあこれは

人を切り捨てるという考え方をしない

自衛隊特有の甘い考えなのかもしれませんが。

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