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海上自衛官に求められる持久力とは、陸上自衛官のそれとはちょっと違う気がします。

陸上自衛官といっても職種が様々なので、ここでは普通科(歩兵)に限定します。

同様に海上自衛官といっても職種は様々なので、護衛艦の哨戒長(もしくはCICオペレーター)とします。

 

装備が近代化されたとはいえ、歩兵の本質は小銃による近接戦闘でしょう。

そこで求められる持久力とは、小銃など個人装備をフル装備した状態での連続した戦闘に耐えうるものとなります。

装備を支えるだけの筋力や、戦闘する上で走ったり、行軍したりといった体力(持久力)だと言えます。

いわゆるマラソンの持久力に近いイメージですね。

 

これに対し、海上自衛隊の護衛艦乗員に求められる持久力とは、どういうものでしょうか。

艦内は狭いので、移動するのに持久力は必要とされません。(寝室と勤務場所を直線的に移動する限り数十メートル)

また、個人装備もヘルメットと救命胴衣(カポック)の装着が最大となります。

 

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『正常な思考力を有した状態で、どれだけ長時間の哨戒任務を継続できるか』

これが、私の考える海上自衛官(護衛艦の哨戒長)に求められる体力(持久力)です。

なんとも地味なイメージですが、その実態はなかなかハードです。

特に長期演習になると疲労の蓄積がボディブローのように効いてくるのです。

また、慢性的な睡眠不足によってそれは助長されていきます。

 

護衛艦乗員は適用される哨戒配備によって、24時間を分割し立直します。

その時の情勢(驚異の度合い)によって、哨戒配備のグレードが決定されるのですが、当然分割できる数が少ないほどハードになります。

平時ということもあり、余程大型艦(イージス艦など)でない限り、哨戒長は2名態勢(砲雷長と船務長)です。

これは、艦内哨戒第3配備という本来3人で立直する配備でも、哨戒長だけは2名で交代するということです。

 

単純に24時間を2分割すれば、残り12時間は自由時間のように見えますが、そうではありません。

その12時間の中で、食事、入浴、洗濯(入浴時に手洗濯)、睡眠、そして何よりもルーティーンワーク(通常業務)をこなさなければならないからです。

非番直の時間は最大でも5時間程度ですから、その時間内に何か他の事をすれば、あっという間に睡眠時間は減っていきます。

 

しかし、睡眠は人間の生理的欲求(食欲、性欲、睡眠欲)の中でも最も強い欲求だと言われております。

睡眠不足が蓄積してくると、立直時の思考能力に段々と影響がでてきます。

特に、緊急事態に対処する際の判断力に大きな影響がでるのです。

平時においては、航行安全という一線をしっかりと守っていれば大事には至りませんが、有事には自分の判断が遅れたことにより自艦が損害を被り、死傷者を出す可能性が拡大するのです。

 

だからこそ、海上自衛官(哨戒長)にとっては、

『地味にしぶとく任務を継続し、いざという時にはいきなりトップギアに入れる力』

が求められるのではないでしょうか。

映画みたいに派手でもカッコよくもないけれど、地味な持久力こそが必要なのです。

 

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