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自衛官の職業病といえば・・・そう、水虫(白癬菌)ですね。(言い切った~!)

なぜこれが自衛隊の職業病と呼ばれるのか、自衛隊特有の事情について考えてみました。

もちろん、海上自衛隊の護衛艦生活というフィルターがかかっていますので、その点はご了承ください。

しかし、陸自さんも空自さんも長時間靴を履きっぱなしになるシチュエーションは同じだと思いますので、『海上自衛隊の職業病』ではなく『全自衛隊の職業病』だと思います。

 

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入隊後1か月で罹患

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私の場合、江田島の幹部候補生学校に入校して最初の長期休暇であるゴールデンウィークにまでには確実に罹患していたと記憶しています。

よく冗談として、

「いや~これでようやく一人前の自衛官になったよ」

なんて口では言っていましたけど、内心では結構ショックを受けていました(笑)

 

最初は痒みだけでしたが、数年後には痛みさえ感じるようになります。

しかも、なんか臭いし、見た目もみっともないので恥ずかしい思いをしていました。

そう、この恥ずかしいという思いが罹患から20年以上も水虫(白癬菌)を飼育し続けた最大の要因だといえるでしょう。

 

そもそも罹患のきっかけは、幹部候補生学校大浴場の浴場マットであることに疑いはありません。

当時と現在では入浴事情が異なるのかもしれませんが、当時は幹部候補生と名の付く学生は全て同じ浴場を利用することになっていました。

我々A幹部と呼ばれる学生だけでも約150名、時期によって異なりますが他にもB幹部、C幹部、飛行幹部など多い時ではこの数倍の学生が在校しているのです。

 

これらの中には、部隊ですでに水虫に罹患したキャリアが相当数いるわけで、浴場の出入り口に設置された浴場マットには、あらゆるタイプの白癬菌が飼育されていることになります。

白癬菌には色んな種類があって、その症状も様々です。

乾燥タイプ、ジュクジュクタイプ、痒みタイプ、痛みを感じるタイプ等バラエティに富んでいるわけです。

あの浴場マットを顕微鏡で覗いてみたらと想像すると・・・きっと恐ろしい光景が広がっていることでしょう。

もちろん、毎日清掃や消毒は行われていますが、当日の入浴時間になれば常に新しい白癬菌が供給されることになります。

 

予防策としては、入浴後しっかりと水気をふき取り乾燥させることが必要なのですが、浴場は使用できる時間が限られているため常に混雑しており、足元のケアも不十分なまま場所を譲り合う必要があります。

私たちの頃は浴場には必ず制服に着替えて(ジャージ不可)行くことになっていましたから、足元もサンダルではなく靴下を履いたうえで短靴を履くことになるのです。

このため、さっきまで履いていた蒸れ蒸れの短靴を再び履いて、22時の消灯時間に至るまでその状態が続くことから、しっかり予防することが難しい環境にあったことは間違いないでしょう。

 

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12月の寒空の下、屋上で冷水シャワーを浴びてはしゃぐ幹部候補生

 

私は別課(部活に相当するもの)でサッカー部に所属していたこともあり、泥まみれの状態で制服に着替えることが嫌で居住区(寝室がある建物)の屋上に設置されたシャワーを愛用していました。

屋上は当然露天で、しかも温水はでませんから『冷水シャワー』ということになります。

最初はあまりの冷たさに抵抗を感じましたが、次第に慣れてきてゴールデンウィークの休暇明けから12月の初めまで『冷水シャワー』を浴び続けることになりました。

 

サッカーの練習後で体が火照っていたということ、

居住区との距離が近い(階段で上に上がるだけなので)、

浴場への経路上にある教官室を通過する機会を必要最小限度にできる(怒られる機会が減少する)

などメリットが大きいためギリギリまで頑張れました。

同期の中には、その後も引き続き屋上に通い続けるツワモノもいました。(雪が降っても)

 

受診を妨げる心理状況

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一度罹患してしまった以上は、構内の病院に受診するしかないのですが、症状が軽いと

「これくらいのことで受診するのは・・・」

という抵抗感があるものです。

 

これは学校教育期間中だけでなく、部隊勤務になってからも同様で

「水虫程度で受診なんて・・・」

という気持ちが常に頭の片隅にありました。

これは何も私に限ったことではなく、多くの隊員が感じていることではないでしょうか。

その結果、水虫は放置され次々に新たな患者を生んでいく・・・まさに負の連鎖だといえます。

 

それでも痒みなどの症状が進んでくると

「何とかしたい」

と思って市販の薬などを買ってきて塗布はしますが、護衛艦勤務ではほぼ靴を履きっぱなしというシチュエーションも多く、入浴も毎日入れると決まったわけではありません。

 

洗濯も毎日許可されるわけではないので、入浴しない時でも靴下だけ交換するといった気の利いたことはやりません。(私の場合は)

洗濯物をあんまり増やしたくないからです。

 

そういう状況が長く続いたことにより白癬菌が爪の中に侵入し、いわゆる『爪水虫(爪白癬)』となりました。

こうなると最早市販薬ではお手上げで、通院しながら飲み薬と塗り薬の両方が必要となってきます。

最終的に自分で出した答えは

「自衛隊勤務している間はあきらめて水虫と付き合う」

という悲しい結論でした。

 

そして卒業

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自衛隊を退職してからも仕事の都合で通院できず悩んでいましたが、昨年の夏に一念発起して専門の皮膚科に通院しました。

約6か月という長い治療期間(通院の頻度はそれほど多くはないが)を経て、ようやく長いキャリア生活から卒業することができたのです。

 

それから1年が経過した現時点でも再発の兆候はみられません。

自分の綺麗になった足を見るたびに嬉しくなってしまいます。

 

改めて感じたのは、

『自分が我慢してればいいか』

と思うのではなく、

『人に感染させてしまう恐れがある』

ことを意識した方がいいということです。

 

勤務環境的に難しいのはやむを得ない部分もありますが、集団生活を送る以上は個々人の意識を高めるほかないように思えます。

専守防衛こそ自衛官の目指す信条ですから。

 

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