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護衛艦の中には『士官室』という区画が存在しています。

文字通り、准海尉以上の幹部自衛官が職務や食事をする区画としての意味と、幹部の総称として使う場合の2種類があります。

私は士官室というのは、その艦の顔であり象徴であると考えています。

 

士官室の雰囲気にもっとも大きく影響を与えるのは、良くも悪くも艦長の個性だといえます。

艦長が交代すると、士官室の雰囲気はガラッと変わるものですし、士官室の雰囲気が変わると艦全体の雰囲気も変わります。

そして、『風通しの良い艦』をスローガンに掲げる艦長に限って、艦内の雰囲気が停滞するのは大いなる矛盾だといえます。(ここ、笑うところです)

 

自艦の士官室については、近視眼的な観点から意外と見えにくいものですが、たまに所要で僚艦を訪問した時など比較しやすいものです。

士気の高い艦は士官室に入室しただけで分かります。

士官室に活気があって、明るいからです。

明るいといっても、決して馴れ合いという意味ではありません。(ちょっと感覚的な話になるので、表現が難しいのですが)

士官室の扉は通常は解放されていて、内側に人一人がたてるスペースを空けてカーテンが引かれています。

僚艦を訪問する場合などは、この場所に立って艦名、職名、氏名、用件について申告してから入室します。(学校の職員室に入室する時と同じ要領ですね)

入室申告を終え、カーテンを開けた瞬間、士官室の雰囲気やその背景にある艦全体の士気を感じます。

雰囲気の良い艦はなんといっても幹部の表情が明るいし、生き生きと仕事しているので活気があるのです。

そういう艦は、乗員を見てもやはり同じく表情が明るいものです。

こういう目に見えない潜在意識は決して侮れないもので、各艦対抗の競技などの結果に色濃く反映されるものです。

 

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逆に雰囲気の悪い艦というのは、士官室に人がいません。

それぞれ自室に引きこもって仕事したり、何だかんだ理由をつけて外に出ようとします。

副長が

「おい、幹部は士官室で仕事しろよ」

なんて言い始めたらもう末期的な状態ですね。

 

士官室は幹部の食堂でもあるので、昼食や夕食の際には机の上をクリヤーにしないと食事の準備ができません。

これを嫌って自室に籠ろうとする幹部もいるのですが、自室に籠って仕事するのは夕方以降にやれば良いのです。

基本的には人事に関する業務がこれに相当します。

いずれにしても、食事の準備で仕事が中断することを見越して作業することが求められます。

準備のために待機している士官室係(各分隊から選出された当番)を、平然と待たせておくようなことはあってはならないのです。(実際問題として、この種の配慮に欠ける幹部は多い)

上にも下にも適切に気を配ることができてこその中間管理職なのですから。

中級課程修業後は、士官室の雰囲気向上という課題について意識するようになりました。

 

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