自衛隊観艦式参加艦艇

 

前回の記事で書ききれなかった部分がまだまだありましたので後編を追加します。

退職後10年以上のブランクがあるにも関わらず、訓練によって刷り込まれた習性に自分でも驚きの連続でした。

また、公開しても問題のなささそうなシーンを編集した動画も用意していますので、どうぞお楽しみください。

 

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航行中のきりさめで見た景色

 

動画中に一般の乗艦者さんがハッキリ映っている部分に関して一部映像を加工しています。

出港前に0800(マルハチマルマル)になったため、自衛艦旗が掲揚されました。

以前から機会があれば撮影しようと狙っていたので、ここぞとばかりに撮影させてもらいました。

ですが、ラッパが吹鳴されている中『敬礼もせずに撮影をしている』ことに対する背徳感が半端なかったです(汗)

まだまだ自衛官体質なんですね。

 

自衛官体質といえば、参加艦艇と行き会う時に乗艦者の皆さんが片舷に

「わ~」

と集まるのですが、そういう時は無意識に反対舷に行って

「近接する漁船等の目標がいないか」

など艦の航行安全の確認をしてしまいます(笑)

いわゆる『左警戒右見張り』が体に染みついていることを再認識できました。

行動中の護衛艦に乗艦するということは、私にとって責任ある配置に就いているか実習であるかの二者択一だったからでしょう。

 

単縦列陣形で航行していると前後の艦との距離が気になりますし、予定航路に対する左右の偏移量、ポイント通過に対する時間の遅れ進みなど部隊行動に関して非常に気になってしまいます。

逆に艦艇や航空機が近傍を航過して行っても、全く興味が持てないのです。

そのせいでその種の写真や動画は驚くほど少ないのです(汗)

せっかく空自さんのブルーインパルスも初めて見ることができたというのに・・・

 

そういう訳でほとんど艦橋に貼り付いていたわけですが、何よりも旧知の間柄である「きりさめ」艦長のきめ細かい配慮には感嘆するばかりでした。

艦橋に配置された幹部への指導も各人の職責や個性に応じて丁寧に行われていました。

「自分だったら声を荒げてしまうかも」

というような事象(詳しくは書きませんが)にも我慢強く耐えていたと思います。

 

更に乗艦中の隊司令に対する適時適切な報告は見事というしかありません。

護衛艦全体の指揮官であると同時に隊司令のスタッフであることは、想像以上に神経を使うものです。

上司からは信頼感を勝ち取り、部下には安心感を与えるという難易度の高い役割を、表面上はいかにも涼しい顔でこなしている姿をみて本当に学ぶところが多かったです。

これこそが今回の体験航海における一番の収穫であったことは間違いありません。

 

もう一つの再会(未遂)

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今回の体験航海において、実はもうお一人懐かしいお顔を拝見することができました。

予行訓練を終了した「きりさめ」は元の係留地である横須賀新港に帰港しました。

それに引き続き同じく佐世保を母港とする「しまかぜ」が入港してきました。

この艦は私が幹部となって2配置目に機関士を拝命していた懐かしい艦でもあります。

(当時は舞鶴が母港でした)

 

入港してきた「しまかぜ」のマストには群司令乗艦を表す旗が掲揚されており、「きりさめ」の左舷に横付け係留するために近づいてきたとき、艦橋ウイングに群司令が出てこられました。

群司令という配置は複数の護衛艦を隷下に持つ部隊指揮官で、海上自衛隊には現在第1護衛隊群から第4護衛隊群までの4つの護衛隊群が存在しています。

階級は海将補で定員4万5千人の海上自衛隊の中でも上位数十名しか存在しない超高級幹部です。

当然ながら実年齢も高く、現役時代は『雲の上のおじさま』という印象でした。

 

しかし、「しまかぜ」艦橋ウイングに出てこられた群司令はそんな従来の群司令像とは異なり、非常に若々しく見えたので軽く違和感を覚えたのです。

「どなたが群司令されているのだろう?」

と思いながらよくよく注意して見てみると

「あっ、幹事付だ」

とすぐに分かりました。

二十年前とほとんど変わらぬその容姿は、相変わらず『シュッ』としていてカッコ良かったからです。

 

江田島の海上自衛隊幹部候補生学校において、私たち第43期一般幹部候補生(92幹候ともいいます)の一番身近で一番おっかない指導官が幹事付です。

幹事付は2名配員されていて通称『赤鬼、青鬼』と呼ばれてています。

『おっかない存在』と言ってはみましたが、実のところ私は幹事付に怒られた記憶はありません。

なぜなら、私が別科(クラブ活動)で所属していたサッカー部の顧問の一人が幹事付だったからです。

幹事付という精神的肉体的にハードな職務の合間にサッカー部で汗を流す時間は、普段『赤鬼』と恐れられている姿とはまるで別人の爽やかな青年士官そのもので

「あぁ、こっちが幹事付の本当の姿なんだなぁ」

ということが良く分かり、自分を律して『幹事付』に徹する姿勢に尊敬の念を強くしたものです。

そういう理由で幹事付に対して『怖い』とか『おっかない』とかいう感情は実は持ち合わせていなかったのです。

 

3年ほど前に同期会が開催されたのですが、この時顔を出して頂いた幹事付と再会する機会がありました。

その同期会において私の存在に気が付かれて、親しく声をかけて頂き非常に感動いたしました。

同じサッカー部として汗を流したことも覚えていらっしゃって、どうしたらそんなに各人のことを覚えていられるのだろうと驚くほかありませんでした。

この種の記憶力は自衛隊の高級指揮官に共通した特質で、数十年も昔のほんの些細な関りをしっかり記憶されているのでいつも感動させられます。

これは多くの人間を統べるために必要不可欠な要素といえるのではないでしょうか。

 

今回は遠目には確認はできたのですが、私のような一般乗客が親しげに話しかけることは憚られたのでご挨拶は控えさせて頂きました。

ご縁があれば再びお話しできる機会もあるでしょうから、その時は改めてご挨拶させて頂きたいと思います。

 

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