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海上自衛官にとってこの『上陸』という言葉ほど甘美で郷愁を誘うモノはありません。

(アレッ?私だけでしょうか?)

 

これが母港であれば『上陸=終業=帰宅』でしかないのですが、寄港地においては『上陸=冒険』なのです(笑)

 

普段は何かと忙しい士官室ですが、寄港地へ入港した時ばかりは

 

『せっかくの機会なんだからサッサと仕事を片付けて上陸しろよっ!』

 

という雰囲気になります。

 

こういう感覚はやはり大航海時代から変わらない『船乗り気質』に根差したモノなのかもしれませんね。

 

本日はその数ある寄港地の中から『佐世保』についてお話ししますが、シリーズ化するかどうかは現時点では不明です(笑)

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上陸員上陸用意!

部隊訓練などで母港を離れ寄港地に入港すると、各艦はこの号令をいかに早くかけるかを競い合っていました。

 

小さなことですがこの種の配慮がもたらす士気の向上(低下)は著しいものがあるからです。

 

『ウチの艦は入港したらすぐに上陸(の号令)がかかる』

 

乗員がそう思うからこそ士気も上がり、入港後に必要となる諸準備が滞りなく整うという側面があるのです。

 

これは『飯が美味い』ことと並んで乗員の士気が上がる重要な要素なのです。

 

幹部は入港後も研究会や航海中にできなかった残務整理などもありすぐに上陸というワケにはいきませんが、それでも夕方の定時には上陸できることが多いのです。

 

そこが母港に停泊している時とはちょっと事情が違うところだといえます。

 

部隊勤務経験が長くなるにつれて過去の配置で実際に居住していた経験のある寄港地も増えてきますから、それに伴って色々と行きたい所(行かなければならない所)も増えていきます。

 

逆にその地に居住していた時は『いつでも行ける』と思ってなかなかいかない店であっても、改めて寄港した機会には絶対に行きたいと思うモノなのです。

 

そんな数ある寄港地の中でも『佐世保』は飲食店も充実していますし、自衛隊に対する住民感情が戦前から一貫して良いので、上陸して楽しい港町として人気のある場所であり入港前からテンションが上がるワケです(笑)

 

私はこう見えて『食い意地が張っている人間』なので、食べ物に関する執着が強く『飲酒』よりも『食べ歩き』に偏る傾向があります。

 

なので佐世保で上陸が許可されたら最初に行く場所は『飲み屋』ではありません。

 

・・・と上陸するその前に欠かしてはならないのが『入浴』です。

 

潜水艦乗組員ほどではありませんが、護衛艦乗組員も艦内に漂う様々な生活臭や各種油類(潤滑油、整備油、燃料等)によって独特の体臭を放っています。

 

まずはこの臭いを一掃するというのが一番の目的ですが、『ON』と『OFF』の切り替えを意識するためという意味もあります。

 

当然下着も新しいものに着替え(何が起こってもダイジョウブなように?)、いざ街へと繰り出します。

佐世保バーガー『らりるれろ』

この記事を書くためにググってみて初めて『らりるれろ』が2006年に佐世保市から撤退していたこと、2015年3月に泉福寺ショッピングセンター内に復活していたことを知りました。

 

私が最後に佐世保にいたのは2004年8月ですから、その直後に市内の店舗は無くなっていたんですね。

 

この『らりるれろ』のハンバーガーは佐世保バーガーの原点のような店で、現在のハンバーガーブームによって高級路線の一途をたどる『佐世保バーガー』とは一線を画す店でした。

 

値段もお味も『庶民的』なところがお気に入りポイントで、たまに入港すると食べたくなる味の一つだったのです。

 

オーダーする一品は『ベーコンエッグバーガー』と決まっていました。

 

というか夕方に上陸してこの『ベーコンエッグバーガー』を美味しく頂くために昼食を意図的に少なくしておくという念の入れようでした。

 

トレードマークの『ピエロ?』の包み紙に入れられたバーガーは柔らかめのバンズ、肉汁のしたたる焼き立てのベーコンとハンバーグのハーモニーによって素朴なお味ながらも絶品でした。

 

自衛隊を退職した現在では佐世保に行く機会もなく、『らりるれろ』のハンバーガーに再会できる可能性は限りなくゼロに近いだけに記事を書きながらちょっと悲しくなってきました。

『鳥きん』で九州のとり文化に浸る

ハンバーガーで小腹を満たすのにはもう一つ理由があって、それは次に訪問する『鳥きん』でむやみに食べ過ぎないためでもあります。

 

すきっ腹で『飲酒』することによる悪酔いを防止するという目的もありますし、散財防止という目的にも沿うものです。

 

このような飲食方法は防大出身の同期から学んだものです。

 

彼らは後輩を連れて飲みに行くと基本『おごり』になるため、最初に『吉野家』で牛丼の特盛を食べさせることでその後の飲食費を大幅に節約するという技術を持っていました。

 

そういうわけで一旦ハンバーガーで小腹を満たしているので、『鳥きん』では鳥刺し、卵焼き、串盛り合わせとドリンク1~2杯のオーダーが標準となります。

 

九州出身者の私にとっては『鳥刺し』はどうしても食べておきたい一品です。

 

また『卵焼き』も少し甘い味付けでこれも外せません。

 

他には鳥皮を薄く伸ばして油で揚げた『とりせんべい』もいいですね。

 

大体このあたりを一通り制覇したところで、お腹的には一先ず満腹に近くなります。

 

ということで次は食事よりも飲みながら話ができるところを探します。

どこぞのスナック

同行者の中に行きつけのスナックを持つ者がいればその者のエスコートに任せ、無ければ片っ端からスナックのドアを開けて交渉します。

 

防大出身者は先輩の申し継ぎがあるのか、この種の行きつけのスナックというものを1~2軒は知っている者が多かったです。

(逆に普段の生活で街に飲みにいくという習慣のなかった私にはそういう行きつけの店は皆無であった)

 

「スミマセン〇名なんですけど、カラオケ込み飲み放題で一人〇千円で2時間、ダイジョウブですか?」

 

私たちの基準はちょっと変わっていて身内だけで話がしたいため次のような条件になります。

  • ママが結構高齢で若い女の子がいないこと(いると席に着いたりして面倒くさいので)
  • 客が少なく、その後も来ないと予想される(客がいるとカラオケがうるさいので)
  • ママの声が酒ヤケでしゃがれていること
  • 要するに場末のスナック(失礼!)が好き

 

この辺りの条件を満たしているかどうか、ドアを開けて3秒以内に確認します。

(これは他船舶への立入検査訓練の中で習得した技術でもある)

 

ショットバーなんかでも話はできるのですが、いい雰囲気は必要としていないのでやはり場末のスナックが最適なのです(笑)

 

もちろんこの辺りの嗜好は個人差が大きいので、私と私の周辺にいたグループの嗜好に過ぎないということを重ねて申し上げておきます。

上陸のシメはラーメンかカレー

スナックを出た時点ですでに深夜となっているので、このまま大人しく帰艦すればいいのですが

 

『次はいつ入港して上陸できるか分からない』

 

という意味不明の焦燥感から、シメの食べ物を探して再び深夜の佐世保の街を彷徨うことになります。

 

とはいっても概ね行先は限定されていてラーメンが食べたければ『お栄さん』に向かいます。

 

ここは24時間営業ということで深夜でも安心して訪問できるところが魅力です。

 

オーダーはオーソドックスに『豚骨ラーメン』もしくは『ちゃんぽん』か『皿うどん』ということになります。

 

九州地方では普通のスーパーでも『ちゃんぽん麺』や『ちゃんぽんスープ』が販売されているのですが、他地域ではなかなかお目にかかれないので『ちゃんぽん』を選択することが多かったです。

 

ただし、ラーメンよりもボリュームがあるので腹具合との相談が必要です。

 

また、カレーを選択するとしたら『ブラック』に行くことになります。

 

こちらも嬉しい24時間営業です。

 

「深夜のシメがカレーかよ?」

 

と思うかもしれませんが、これはある種のノリなのかもしれません(笑)

 

実際のところ深夜にカレーを食べなければならないほどお腹が空いているハズもないのですが

 

「いや~昨日は最後のシメにブラックでカレー食べたよ~」

 

というネタを翌朝みんなに自慢したいという欲求だけで行ってしまうのかもしれません(笑)

 

しかしながら『ブラック』という店名に相応しくイカ墨の入った真っ黒なカレーは激辛というだけでなくお味の方もなかなかのもので、ちょっと病みつきになってしまうのです。

 

こちらは喫茶店なので他にも各種メニューが多数取り揃えられていますが、私はこの特製カレーしか食べたことがありません。

 

いずれにしても深夜にラーメンやカレーを食べた代償は翌日の朝に痛感することになります。

(昼過ぎまで胸やけが収まりません。ゲプッ!)

記事のまとめ

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いかがだったでしょうか?

 

寄港地で上陸する醍醐味は『制限された時間の中でどれだけ自由を満喫できるか』という一点にかかっているように思います。

 

これが毎日自由に上陸(外出)できるという状況だとすればここまで詰め込む必要もありませんし、それゆえに得られる充実感も限定的な気がします。

 

「この次はいつ自由に上陸できるか分からない」

 

この焦燥感こそが『上陸』という言葉を甘美で郷愁に満ちたモノにしているのでしょう。

 

最後に非常に重要なことを追記しておきますが、このように深夜まで遊んで帰艦した翌朝こそ『総員起こし後の体操』に元気に参加しなければなりません。

 

周囲の人は幹部海曹士を問わずこういう部分に非常に敏感です。

 

「なんだあいつは深夜まで遊んで帰ってきて朝の体操にも出てこないのか」

 

と思われるようでは幹部失格なのです。

 

お酒を飲んで気持ちよく帰艦してきても、一歩舷梯に足をかけた瞬間から『幹部』としての意識を取り戻すことが重要なのです。

 

護衛艦という衣食住が一体となった職場では、そのような意識なくしては『指揮』も『統率』も成り立たないといえるでしょう。

 

もちろんこれは自分の失敗に基づいて体得したことなので、賢明な現役諸官におかれましては他山の石として同じ道に足を踏み入れることのないようご紹介しておきました。

 

それでは本日もここまで記事をお読みいただきましてありがとうございました。

 

また、次回の記事でお会いしましょう。

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