護衛艦士官室コーヒー

 

みなさんはコーヒーがお好きですか?

私は大好きです。

というよりほぼコーヒー中毒です(笑)

 

学生の頃から缶コーヒーなどは良く飲んでいましたが

ここでいうコーヒーとはコーヒーメーカーによる

ドリップコーヒ―のことを指します。

 

・・・なんだか『コーヒー』という言葉を連続でタイピングしていたら

一杯飲みたくなってきましたのでちょっと失礼してコーヒーブレイクを。

 

・・・話を元に戻しまして

 

私が本格的にコーヒーの虜になったのは護衛艦に部隊配属されてからです。

今回はそんな護衛艦のコーヒー事情についてお話しします。

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士官室のコーヒー

士官室には大抵コーヒーメーカーが設置してあり

士官室で仕事をすることが前提の幹部は必然的に

このコーヒーを1日に何杯も飲むことになります。

 

私の場合は平均して4~5杯くらいだったかと。

 

これは連日の超過勤務による睡魔を

カフェインによって払拭しようという

目的があるのかもしれませんね。

 

ではなぜ

このようにコーヒー文化が根付いたのかということについて

私の個人的見解を申し上げますと

 

それはズバリ米海軍の影響によるものだと思っています。

 

実際米海軍の艦艇に派遣されて彼ら米軍人を観察してみると

コーヒー消費量が日本人の常識からすると

尋常でない量であることに気が付きます。

(コーヒーだけでなく炭酸飲料の摂取量もスゴイですが)

 

ただし

いわゆる『アメリカンコーヒー』といわれるように

少々薄めに作られている気はします。

 

そして

彼らは航泊を問わず絶えず手にコーヒーボトルを持っています。

 

日本でも近年ではスタバのタンブラーなどを持ち歩く習慣が定着してきましたが

ああいったタンブラーや底が広く倒れにくいマグカップなど

常時コーヒーを飲むために必要なグッズは凄まじく充実しています。

 

私も米空母『キティホーク』に約3週間ほど監禁派遣された際に

艦内の売店でいくつか購入しました。

(よく考えたらあれはプレミアものでしたが、使い古して捨ててしまったのが残念)

運営費は幹部の私費

このコーヒーは嗜好品という位置づけなので、

幹部全員(もちろん艦長も支払い義務があります)から徴収した

『卓費』と呼ばれる一種の供託金によって運営されています。

 

これを取り仕切っているのは『卓長』で

たいていの場合は准海尉さんが任じられています。

 

理由は1~2年で転勤を繰り返す幹部と違って

長く同じ艦で勤務するからです。

彼らは長期行動においてもストック切れにならないよう

綿密な在庫管理を行っています。

 

ほとんどの幹部はコーヒーの銘柄について無頓着なのですが

私は『モカ』が特に好きなので卓長を拝み倒して入庫してもらっていました。

 

過去に勤務した全ての護衛艦において

卓長さんとは非常に懇意にしていましたので

少なくとも私の在艦中は少し割高な

『モカ』コーヒーにしてもらっていたということです。

何といっても『モカ』の独特な甘い香りが大好きだったからです。

コーヒー残量管理は初級幹部のつとめ

このコーヒーの残量管理は主に初級幹部が行っています。

 

士官室への急な来客にも速やかに対応できるように

常にコーヒーの残量チェックを欠かさないのです。

 

ですから

残りが少なくなってきたなと思ったら

それを自分で処分して

すかさず新しいコーヒーに入れ替えます。

 

ただし

このコーヒーをいれるという単純な作業においても

やはりセンスといったものが顕著に表れるもので

ガサツな人間が適当に入れたコーヒーは極めて不味いものです。

 

なので

水とコーヒーの分量をきちんと計測し

ベストな状態を把握しておくべきなのです。

 

戦国時代の織田家家臣だった羽柴秀吉と

後に彼の側近となる石田三成とのやり取りを描いた

『三杯のお茶』

の逸話をご存知でしょうか?

 

鷹狩の途中で寺に立ち寄り

お茶を所望した領主秀吉に対し

その寺の小坊主だった石田三成は

 

最初の一杯目はぬるくて薄めのお茶をたっぷりと

二杯目は最初よりも少しづつ熱く濃く

三杯目は熱くて濃いお茶を少量差し出した。

という有名な逸話です。

 

これを現代の護衛艦のコーヒーに適用して

朝のコーヒーは出勤してきた幹部の目を覚ますために少し濃いめに

日中はガブガブ飲むので少し薄めにと状況に応じて変化させていました。

まあ、あくまでも自分の基準でということですが。

 

日中でも昼食後(特にカレーの日)は

睡魔が襲ってくるので少し濃いめに入れたりもします。

 

このように自分が初級幹部のうちは全体のことを考慮しつつも

実は自分の好みに応じて自在に濃度を調整できるのですが

年齢や階級が上がり科長などになるとなかなか難しい状況になってきます。

 

士官室に誰もいないことを見計らって

嬉々として自分でコーヒーをいれようとしていると

どこからともなく初級幹部がすっ飛んできて

 

「砲雷長、あとは自分がやります!」

となるのです。

 

年長者にそういった雑用をさせてはならないという教育が

徹底されているということで気持ちは嬉しいのですが

残念なことに申し出てくれた初級幹部が『ガサツなタイプ』

だと少々複雑な気持ちになります。

 

なるべく彼の純粋な気持ちを傷つけないように

「たまにはオジさんにやらせてくれよ~」

などと言ってみますが

 

それが却って彼のヤル気に火をつけることになり

「いいえ、砲雷長はそこに座ってお待ちください」

となる。

 

「・・・じ、じゃあ、お願いしようかな」

と手に持った計量スプーンを渡しソファに座って様子を見ていると・・・

 

やっぱりテキトーな感じで作業していてがっかりする。

完成品を飲んでみてもやっぱり不味い。

 

階級が上がることの不自由さをしみじみと感じながら

その不味いコーヒーをたしなむ午後のひと時でした。

記事のまとめ

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今回は士官室のコーヒー事情について紹介してみましたが

いかがだったでしょうか?

 

こういう日常の些細なことでも『気配り』の訓練になっていると思います。

 

また

日常の些細な事に気配りする習慣を身に着けることは

航泊を問わず勤務上の些細な異変に気が付く感性を育てます。

 

若い頃のこうした経験こそが

年齢や階級を重ねても非常にきめ細かい配慮を忘れない

海上自衛隊幹部の特徴を形成している要因ではないでしょうか。

 

しかし

自宅に戻ってからも

この種のきめ細かさを発揮していると

パートナーからは煙たがられてしまうので

帰宅時には『気配りセンサー』を鈍くしておいた方が良さそうです。

 

ここまで記事をお読みいただきましてありがとうございました。

また次回の記事をお楽しみに。

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