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古今東西を問わず、船乗りにとって真水は貴重品であります。

今回は、そんな護衛艦の水事情についてお話ししたいと思います。

 

通常、護衛艦は出港する時に真水を満載にしています。

そして、陸岸から一定距離以上離れた海域に到達した時点で、造水装置による真水の生産を開始します。

護衛艦における水の管理は、機関科幹部である応急長の所掌となっています。

そのため甲板士官は応急長にお伺いを立てて、当日の入浴や洗濯について、その都度許可を得る必要があります。

 

近年では造水装置の能力向上や護衛艦の省人化に伴い、水事情は著しく改善されていると思います。

しかし、真水が貴重品であることには変わりなく、さまざまな工夫によって節水に努めています。

航海中の護衛艦において最も真水の消費が多いのは、調理における消費であります。

しかしこの部分は、中々節水しにくいというのが実情です。

そこで、節水の対象は個人消費部分に絞られることになります。

 

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艦内のほとんど全ての水道の蛇口は、人がひねっている間だけ水が出る仕組みになっており(自動止水装置)、出しっぱなしにはできません。

ですので、洗顔する時なども片手で洗うか洗面器に必要な分を貯めて使うことになります。

護衛艦で勤務するまでは、洗面所で盛大に水を流しながら顔を洗っていたので、この蛇口に適応するのに多少戸惑いを感じました。

 

さて、入浴事情についてですが、私の在職した時代はほぼ毎日入浴が許可されるようになっていました。

これより以前の入浴頻度は、2日に1回くらいだったようです。(艦種にもよると思いますが)

なお、浴槽には海水を貯めて沸かしており、体の芯まで温まる気がするので、特に冬は有難かったです。

ミネラルも豊富なので、美肌効果も期待できるかもしれませんね。

今でも時折

「海水風呂に入りたいっ!」

と思うことがあります。

 

この入浴時に忘れてはならないのが洗濯です。

洗濯はさすがに毎日は許可されず、2日に1回の頻度になるので、許可された日は忘れずに(面倒がらずに)実施しなければなりません。

1回洗濯をさぼると、次回はもれなく4日分の洗濯物を一度に処理することになるため、作業効率が悪くなるからです。

 

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汚れた衣類は自分専用のバケツに入れておき、入浴するときに洗剤を少量入れて浴室に向かいます。

バケツに水(またはお湯)を入れて漬け置き洗いの状態にしたら、自分は海水風呂に浸かります。

 

体が温まったところで、漬け置きの洗濯物を手洗いします。(もちろん全裸で)

汚れのひどいものは百均で調達したプラスチック製の洗濯板を使用して洗います。(手もみすると指の関節が擦れて痛いので)

洗い終わったら浴室入り口付近に設置してある洗濯機(二層式が良い)で脱水のみ行い、再度手洗いですすぎを行います。

洗濯機が本来の使用方法で活躍できるのは、岸壁に停泊している時に限られます。

 

すすぎ後に再び脱水を行って洗濯は完了、今度は自分自身を洗浄します。

海水風呂に浸かった後は全く泡立たないので、軽く真水で流し、頭と体を洗ったらもう一度真水で洗い流して全工程が終了となります。

なお、洗剤の入れ過ぎは絶対に犯してはならない痛恨のミスであります。(永遠にすすぎが終わらない)

 

幹部は小さいながらも幹部浴室を使用するので、使用人数も限られており、一連の作業も比較的快適に実施可能でありました。

しかし、乗員は科員浴室に集中するため、特に若い人は周りの諸先輩に気を使いながら入浴しつつ洗濯作業をするので大変だと思います。

艦内生活に関して、幹部であることの数少ないメリットの一つではないかと思います。

 

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