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遠洋航海中に艦長からお叱りを受けたちょっと恥ずかしいエピソードを紹介します。

深夜2時から4時の当直を終え、士官室に降りてきた私は、

「このまま寝室で寝たら、6時から始まる蛇行運動に間に合わず寝過ごしてしまいそうだ」

と思い士官室で横になっていました。

 

ここに居れば、士官室係が朝食の準備をする気配で自然に目が覚めるだろうと考えたからです。

そうしてウトウトしていると、実習幹部が表れて

「・・・砲雷長、・・・は・・・ですか?」

と質問される夢をみていました。

「それは、・・・むにゃむにゃ・・・〇▽#」

と夢と現実の間で答える私・・・

 

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その瞬間

「砲雷長、なんだその態度は!相手に失礼だぞ、顔を洗ってこい!!」

と一喝されました。

びっくりして飛び起きると、なんと隣に艦長が座っていらっしゃいました。

そして、自分の目の前には現実に実習幹部が立っていました。

すぐさま顔を洗って士官室に戻ると、既に艦長は自室に戻れており、実習幹部が一人待っていました。

 

よくよく聞いてみると、3日後に予定されている部署訓練において砲雷長の配置に当たっており、その質問があって来たとのこと。

質問の内容は『部署』を読めば直ぐに分かる内容で、しかも今まで指導してきた内容を実習幹部に記載させている『申し継ぎノート』にも書いている基礎的な事項でした。

「・・・もう少し常識的な時間に質問に来て欲しかったなぁ」

「っていうか、質問に来ること自体が目的になっているのでは?」

と思いつつ、ひとまず緊急性がないことが分かったので翌日に時間を指定して一旦お引き取り願った。

 

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翌日、実習幹部の部屋を訪問し、昨日の非礼を詫びるとともに事の真相を確かめると意外な真実が見えてきました。

要するに何も質問せずに当日の訓練で失敗すると幹部から怒られるので、事前に無理にでも何か質問を持って行くことが良いという風潮があったのです。

『怒られないための顔見せ』というなんとも打算的な考えに失望感を覚えながらも、そうさせているのは我々幹部の伝え方に問題があるのだと分かりました。

「分からないことがあれば、いつでも質問に来い。疑問を持ったまま訓練に臨むな」

実習の開始に先立って私自身が言った言葉ですが、それを額面通り受け取ればあのような行動に出ることも有り得るということでしょう。

 

「分からないことがあればまず自分で調べてみて、申し継ぎノートを読み返し、過去の訓練において同配置を経験した同期に質問し、それでも疑問があれば質問に来い」

というのがこの発言の主旨なのですが、立場や経験の違いによって生じるニュアンスについてもう少し考慮するべきだったかもしれません。

改めてその場に居合わせた実習幹部達にその主旨を説明したところ、理解を得られたようで安心しました。

自分が実習幹部だった時に理由を明確にしないまま闇雲に怒られて嫌な思いをした経験を活かし、対等の立場で理由を明確に示して真意を理解させることが重要だと考えたからです。

 

艦長には一連の経緯を報告し、改めて当日の非礼を謝罪しました。

「階級や配置とは関係なく、人としての礼を失っちゃいかんな」

そういって笑っていらっしゃいました。

砲雷長という立場にありながら自分の未熟さに赤面するばかりですが、同時に適切に叱って下さった艦長に対する感謝の気持ちが湧き上がってきました。

小学生の時、大好きな先生からゲンコツをもらった時のような腹の底がジーンと暖かくなる感じを今でもよく思い出します。

 

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