2003遠洋航海-crop

 

ニュージーランドでは主隊と別れ分派行動となりました。

旗艦「かしま」は現在の首都ウェリントンへ「さわぎり」は旧首都オークランドへ向かいます。

フィジーから南下するに従って気候も涼しくなってきます。

この感覚は南半球ならではのものです。

人生2度目の南半球ですが、頭で理解していてもどこかに違和感を感じてしまいます。

夜間に見える星も北半球のものとはかなり違ってきます。

夜空を見上げた時に自分の知らない星々が輝いているというのは、別の惑星に来たかのような錯覚を起こさせるようです。

 

でき者救助訓練

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航行訓練シリーズ第4弾です。

読んで字の如く、海中転落者を救助する訓練となっています。

海上自衛隊の護衛艦等には、この訓練を実施するのための『でき者人形』が装備されています。

海面上でも目立つように黄色くカラーリングされた人形(浮力あり)といえば分かり易いかもしれません。

リアリティを演出するため、各艦ごと絵心のある乗員によって顔が描かれていることもありますので、広報活動で一般公開中の護衛艦等を見学する機会があれば展示されているかもしれません。(かかし風の簡易なものから劇画タッチのものまでホントに様々ありました)

 

訓練は通常航行中にこの『でき者人形』を海中へ投げ入れることによって始まります。

「教練、人が落ちた右(左)!」

という見張り員からの報告に当直士官は素早く反応しなければなりません。

でき者が転落した方向に舵を切ってスクリューに巻き込まないようにするとともに、増速反転してでき者の風上側に艦を停止するように操艦します。

『でき者』と護衛艦では風圧面積が全く違いますから、風上に停止した護衛艦は自然に『でき者』に寄せられていくのです。

これはこの訓練に限ったことではなく、射撃等で使用する各種標的や模擬弾の回収作業に応用される基礎的な理論なので、この感覚を涵養することは必須項目であります。(特に航海長配置)

 

当直士官は操艦と同時に部署を発動し所定の人員を配置につけます。

そして当直士官が操艦に集中している間に、艦内では『誰が海中転落したか』を特定するため人員チェックが行われています。

艦内の速やかな人員チェック態勢の確立というのも、この訓練の大きな目的の一つだからです。

艦内指導班はあらかじめ各分隊から一人づつ身柄を拘束しておいて、人員チェックの進捗状況に応じて解放していきます。

そして最後まで拘束されていた乗員が『でき者』であると特定されるのです。

甲板からは索付救命用ブイが投げ入れられ、『でき者』がそれに捕まったという想定が出されると、『四ツ目』と呼ばれるかぎ状のフックでひっかけて手繰り寄せます。

 

『でき者』が艦の正横にくると、救助かごに救助員が乗って海面まで降下し『でき者』を収容します。

救助員の服装は海パン(水着)に救命胴衣なので、夏季の訓練は最高ですが冬季は待機しているだけでも辛そうです。

そんな冬季の訓練で操艦者がいつまでも艦を寄せることが出来ずにいると、待機時間が伸びるため救助員から恨まれることになります。

甲板上に収容された後は、救命措置(人工呼吸、心臓マッサージ)に移行します。

現場では看護長(衛生員長)による救命活動のレクチャーが実施されます。

 

艦橋は訓練終了後に研究会を実施し、以後は『でき者人形』ではなく『旗付ブイ』を使用して操艦訓練を繰り返し行うのが通例です。

これは若手幹部が艦の運動性能を把握し操艦技術を向上するため、欠かせない訓練となっています。

遠洋航海中は実習幹部が交代して練習しますが、一人当たりの練習回数には限りがありますし、操艦号令をかけるだけで精一杯というのが実情です。

まあ、そんなに簡単に習得されたら我々古参幹部は『飯の食い上げ』になってしまいますからね(笑)

護衛艦の操艦は、とにかく経験を重ねなければ思うようにはいかないものなのです。

 

オークランド

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久しぶりの西洋型近代都市です。

オークランドは『落ち着いた大人の街』という印象です。

悪く言えば、人が少なくて活気がないともいえますが(汗)

1865年まで首都だったということもあり、商業地区は現在の首都ウェリントンよりも発展しているそうです。

首都移転の時期が日本と同時期(東京を首都と考える一般的な解釈に基づく)であることが興味深いですね。

市内の人口は40万人程度だということで、横須賀と同程度だと思いますが、その割に閑散とした印象を受けるのは繁華街の密集度の違いなのかもしれません。

 

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ハワイほどの華やかさはないものの、タヒチ、フィジーと寄港してきた後では大都会に来た錯覚に陥ります。

しかし、どちらかと言えばニュージーランドは豊かな自然によって世界に認知されているといっていいでしょう。

アウトドアスポーツも非常に盛んで、ニュージーランドのオリジナルアウトドアブランド『kathmandu(カトマンドゥ)』のショップが市内の至る所にあり、登山を趣味とする私によっては最高のショッピングスポットとなりました。

価格の割に品質も良く、各支店ごとに割引対象の異なる大規模なセールをやっていたため、日中はほぼ『カトマンドゥ』巡りに終始しました。

 

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夜の食事を考える時、やはりニュージーランドに来たからにはステーキを食べなくてはいけません。

それも最高級アンガスステーキを!

街を徘徊中に発見した良さげなステーキ店に突入しました。(実はかなりの有名店であることが後で発覚)

 

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残念ながら肝心のステーキの写真がありませんが、かなり美味しかったです。

肉はショーケースに並んだ各種部位から自分の好きなものを選ぶことが出来たと思います。

私は250gの『Scotch fillet』を選択しました。

価格はサラダバー付きで3000円弱(当時の為替レートで)だったと記憶しています。

塩コショウのシンプルな味付けで、肉そのものの味を堪能できましたが、そろそろ日本の焼肉(タレ)が恋しくなってきました。

 

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食事の後はカジノのバーで軽くお酒を頂きます。

カジノはセキュリティーもしっかりしているので、日本人が安心してお酒が頂くには恰好の場所だと思います。

市内にパブもたくさんあるのですが、オーストラリア同様に根強い有色人種への差別意識があるため注意が必要です。

酒を飲む場所では、理性を失って本心をむき出しにする人がいるためストレートな感情に見舞われることもあるからです。

 

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帰りに人気のない場所を通りかかると、なにやら怪しい看板が・・・ぼったくりの臭いがプンプンしますね。

華麗にスルーして艦に戻ります。(我艦隊に犠牲者が出ないことを祈りつつ・・・しかしそれも人生勉強)

オークランドに対する総合印象はかなり良好で、将来生活しても良いかなと思える街でした。

実際には有色人種の移民にはかなり高めのハードルがあるようです。

郊外の大自然へトレッキングやサイクリングに行くことが出来れば、もっとニュージーランドを楽しめるのではないかと思います。(残念ながら私達にはその自由はありませんでしたので)

 

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