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機関士としての勤務も後半に入り、大きな海上演習を控えている頃の話です。

士官室での昼食時に艦長から

「(機関士が終了して)次の配置では、1分隊幹部になるだろうから、リハビリを兼ねて次の演習時は艦橋で立直したらどうか?」

とのお言葉がありました。

 

確かに次の配置は1分隊配置だろうし、艦橋でも副直士官ではなく当直士官として操艦しなければならないだろうと思い、この話を受けることにしました。

しかし、これがすぐに機関科員に伝わってしまい、着任から今まで築いてきた信頼を一気になくすことになりました。

 

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艦艇幹部が3ローテーションすることは乗員でも理解していますが、機関士という職務でありながら艦橋で立直するという行為は、彼らに対する裏切りであったのです。

自分達機関科員が軽んじられていると受け止めたのです。

 

それまで、親しくしていた機関科員達もどこかよそよそしくなり、今更ながら取り返しのつかないことをしてしまったことを後悔しました。

しかし、全ては後の祭りです。

恥を忍んで艦長室を訪れ、艦橋立直の件を白紙に戻してもらうようお願いしました。

もちろん本当の理由は言えませんでしたので、艦長としては気分を害されたようでした。

 

自分自身の中に3ローテーションの通過点だという安易な気持ちがあったのだと思います。

やはり、次がどうこうというのではなく、現在与えられた職責を全うすることこそ、最も重要なことだと痛感しました。

人間関係は築くときは時間がかかりますが、壊れる時は一瞬です。

その後残されたわずかな時間ではもはや信頼関係の回復はならなかったように思います。

自衛官生活の中でも、最も痛い教訓の一つです。

 

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