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「通信士、ワッチの時間ですー」(小声でささやくように起こすのが原則。間違っても体を触って起こしてはならないという不文律がある。)

自分のワッチ(当直)時間が近づくと、前直の当番が起こしに来てくれますが、これが本当にツラかった。

 

航海中は日出から日没まで訓練がつまっており、夜間も数時間毎に交代で艦を運航しなければならないのです。

民間船舶の中には『オートパイロット』で寝ながら運航しているものもあるとかで、うらやましい限りです。

 

ともあれ、護衛艦はしっかりと人の力で運航しなければならないのですが、特に若いころはこれがツラかったですね。

当直の時間は毎日一コマづつずれていくように組まれているので不公平になることはないのですが、深夜に交代する通称『どろぼうワッチ』と言われる時間帯はとくに嫌な時間でした。

深夜に起こされて当直勤務に就いた揚句、終了してから総員起床までの時間が極めて少ないのです。

そして、寝不足のまま当日の訓練が始まってゆくのです。

 

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そんな夜航海でもいいこともあります。

360度見渡す限りの水平線という環境では、自艦の航海灯以外には明かりは存在しません。

月のない晴天の夜など、街では決して見ることのできない膨大な量の星々を見ることができます。

遠洋航海中は天測訓練で苦しみましたが、部隊勤務ではそんなものはありません。

 

それにも増して感動的な現象は、夜光虫により眩しいくらい発光する自艦の航跡(ウェーキ)でしょう。

そこはもし昼間であれば、赤潮が発生しているだけの海域なのですが、夜の美しさは言葉にできないほど幻想的です。

もっとも、副直士官はそんなロマンに浸っている時間はありませんけどね。

 

15分ごとに艦位を海図に記入し、予定航路に対する偏位量(ズレ)やその修正についてのリコメンド、予定時間に対する遅れ進みなど計算して当直士官に報告しなければなりません。

全ての業務は当直士官の補助業務ではありますが、とにかくやることはたくさんあります。

自分が自信をもってできる業務が増えていくことはなかなかに楽しいものです。

 

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