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水雷長として勤務する上で、極めて重要な職務の1つが『訓練発射』です。

読んで字のごとく訓練弾を発射する訓練です。

 

しかしながら、実際に発射に至るまでには多くの手順を踏む必要があります。

準備段階として、まずは弾薬搭載があります。

弾薬搭載計画を策定し、承認を受けたのち各部への連絡調整を行います。

もっとも水雷長としては、計画の策定と承認を取り付けることが主たる実務であって、一番重要なことは決定事項を速やかに部下と共有することにあります。

ここさえしっかりと押さえておけば、作業は全て滞りなく進んでいきます。(全てはベテラン海曹たちのおかげです)

当日は作業全体を見ながら、安全面に留意して監督することになります。

 

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次に『指揮官胸算』の作成です。

当該発射訓練の目的や使用弾種、不測の事態が生起した場合の対処要領、号令の流れなどについて詳細に示すものです。

これに基づいて、発射当日まで航泊をと問わず『立て付け』を実施して各部との連携を図ります。

 

どんな訓練にも共通することですが、この『立て付け(予行練習)』をどれだけやり込んだかによって訓練の成果は大きく変わってきます。

『訓練のための訓練』と揶揄されることも有りますが、日頃の訓練なくして実戦で役に立つはずもありません。

 

発射当日も天候や海面状況を確認して指揮官(艦長や司令)に訓練実施の可否について進言する必要があります。

天候が良くても、海面状況が悪ければ標的や訓練弾頭の回収作業が非常に困難になるからです。

 

さて、いよいよ発射に至るわけですが、これはもう今までの訓練通りたんたんと気負うことなく手順を進めるのみです。

むしろ、発射が成功した瞬間から始まる回収作業の方が事故に繋がることもあるので注意が必要です。

 

訓練弾の浮上予測位置に艦を移動させ、目視による確認ができたならば速やかに内火艇と呼ばれる小型ボートを降下させ現場に向かわせます。

作業員による訓練弾拘束、訓練弾の甲板への引き上げ、内火艇の収容と一通りの作業が終了するとようやく一安心できます。

波やうねりによって動揺する洋上での作業は、ちょっとした油断が大事故に繋がる可能性を秘めているので気が抜けません。

部下に怪我をさせないことは、指揮官として絶対に守らねばならないことです。

 

このように訓練発射は、企画から実施までの一連作業を責任を持って完結させる初めての訓練となりました。

『~士』から『~長』になるということは、所掌業務の責任が発生するということなのです。

 

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