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「はたかぜ」での勤務も終盤(1年間を任期と考えれば)に近づいた頃、思うところがあって自宅を購入しました。

既に完成物件であったので、タイミングを見て引っ越ししようと思っていたところ、ある時、艦長から艦長室に呼び出されます。

「水雷長、インド洋派遣中の第2護衛隊隊勤務(隊付と呼ばれるのが一般的)の内示が来ているがどうする?」

「もし、了承ならば、出発は1週間後になるけど・・・」

とのお話でした。

私が自宅を購入したばかりで、もうすぐ転居するという事情もご存知でしたので、かなり話しにくそうな印象でした。

 

転勤先が海外ということ、また出発までの期日が差し迫っているという特殊事情もあり、直接個別に意思を確認されたようです。

本来、転勤先の内示に否も応もないと思うのですが、海上自衛隊では転勤先の内示についてはこれまでも、そしてこの先も本人の意思が必ず確認されていました。

ですから、自分がどうしても嫌であれば(相応の理由があれば)拒否することは可能です。

ただし、海幕補任課の台所事情により選択できる候補者が少なければ、『職の要求』という伝家の宝刀を抜いて強硬に説得される可能性はあります。

内心では

「いやー、自宅購入したばっかりなんですけど・・・(汗)」

と思いつつも

「転勤、お受けします」

と即答しました。(回答までの時間は5秒程度)

初任幹部の頃から、人事に関しては『命のまま』が信条でしたので。

 

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この時、転勤を拒否することは当然できたと思います。

ですが、私が拒否すれば当然他の誰かが指名されるでしょうし、その誰かにも個人的な事情があるでしょう。

そんな、後味の悪いことはしたくないというのが『命のまま』という信条に繋がっていたのです。

私があっさりと承諾したのを見て、艦長はかなり安心された表情をされたので、

「もし、本人がごねてもなんとか説得するように」

と海幕の強い要請があったのではないかと推察します。

 

という訳で出発まで約1週間で慌ただしく準備することになりました。

部隊は既に現地で行動中ですので、空路で向かうことになります。

早速、その日のうちに外交旅券(緑色のパスポート)発行手続きや写真撮影を行いました。(気が変わらないうちに?)

現在居住している官舎を引き払い、当該部隊の所属している佐世保の官舎に入居申請します。

今回の特殊な事情が考慮されて、本来私の階級や配置では入居できないような利便性の高い官舎に即入居可能となりました。

そもそも購入した自宅への転居を考えていたので、引っ越し準備はあっという間に完了することができました。

しかし、この自宅は一度も住むことなく賃貸へ。

 

後任の水雷長は欠員ということで、水雷業務については掌水雷士に引き継ぎをしました。

そういえば、前任の水雷長も欠員だったような気がします。

要するにDDG(ミサイル護衛艦)における水雷の立ち位置はその程度だともいえます。

DDGの主たる任務は何といっても部隊防空なのです。

 

そんなこんなで慌ただしく残された日々が過ぎてゆき、横須賀を、また日本を後にすることになりました。

そして、この転勤が私にとって人生の岐路となるのですが、この時点ではまだ何も知る由はなかったのです。

 

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