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護衛艦における停泊時の業務について紹介てみたいと思います。

航海中の護衛艦でどのような訓練を行っているかについては色々と紹介してきましたが、停泊時はどのように過ごしているのかについて説明が不十分だったように思います。

なぜかといえば停泊時の業務とはこういうものだとは一概にいえない部分が多いからかもしれません。

幹部の場合、役職や係士官の内容によって業務内容は異なりますが、大別すれば

  1. 役職(〇〇長、〇〇士など)の所掌業務
  2. 係士官(教育訓練係士官、警衛士官、甲板士官、体育係士官など)の所掌業務
  3. 内務(分隊長、分隊士など)の所掌業務
  4. 当直(当直士官、副直士官)の所掌業務

などに分類された内容の業務に従事しているといえるでしょう。

 

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所掌業務の明確化

まず、長い航海訓練を終えて母港に戻ってくると同時に大量の文書が届きます。

(参考:ペーパーネイビー

これらは庶務によって受理され士官室に回覧されます。

幹部は常に士官室内にある回覧文書に目を配り、自分の所掌業務があれば『アト処理』等の印をつけ、業務処理に向けて動き始めなければなりません。

特に初級幹部であるほど誰よりも早く文書に目を通し、自分の所掌案件に対しどう取り組んでいくのか腹案を持っておく必要があります。

 

上司の科長から

「おーい、〇〇士、この間文書で来ていた〇〇の件どうなっている?」

などと聞かれることがないように、先手を打たなければなりません。

「〇〇の文書の件ですが、現在案を作成中です。〇月〇日までに各幹部合議の後、艦長決済を頂く予定です。なお回答期限は〇月〇日となっております」

このように上司に報告する、または回覧文書に自分が担当することと処理の方針について示したメモを張っておいたりします。

この案件は自分の所掌だという認識を明示することは、停泊時業務を円滑に処理する上で非常に重要な技術の一つだと思います。

 

たまに誰の所掌か明確でない案件が出てきますが、この場合は副長がアサイン(指名)するか令なくして甲板士官が担当となります。

こういう自分の所掌以外の仕事を振られると、所掌業務だけでも手一杯なだけに

「えっマジですか!?」

などと思ってしまいますが、A幹部は3年目には〇〇長(科長ではなく砲術長、水雷長、応急長など)になってしまうので、最初の2年で色んなことを経験した方が良いと思います。(今だからそう思いますが、当時は・・・えへへ)

自分が科長になって初級幹部を指導する際に、自分が経験したこととそうでないことについて語るとすれば、どちらが説得力があるかは明白でしょう。

 

ルーティーンをこなしつつ突発事案に備える

停泊時の業務はどちらかといえば『ルーティーンワーク』というべき内容のものが多くなりますので、きちんと計画を立てて早め早めに処理すればそんなに大変な業務はありません。

ただし、突発的な事案(分隊員失踪、所掌機器故障、緊急出港など)が発生すれば、一気に処理優先度が入れ替わることになります。

そういう特殊事情が発生しても『ルーティーンワーク』の期限は変わりませんから、十分な余裕を担保するために残業することも多かったように思います。

何といっても自衛官の残業代は基本給に含まれていると解釈されていますから。

 

「〇〇な事案が生起したので、〇〇できませんでした」

などという言い訳は絶対にできないのが自衛隊だと思います。

そう考えると停泊時の仕事とは、自衛隊の存在意義そのものを体現しているのかもしれませんね。

涼しげに泳ぐ水鳥が水面下で懸命に足をかいているように、表面上余裕があるように見えても蔭ではかなり努力しているのです。

努力の質は個人の資質によって異なると思いますが、少なくとも私の場合は周囲に置いていかれないよう水面下では全力でバタ足する必要がありました(汗)

 

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