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今でも夏になると、ある情景が頭の中に浮かんできます。

それは燃えたぎる夏の日日差しを浴びながら、必死に自転車を漕ぎつつ、じっとみつめたアスファルト、聞こえてくる音はセミの鳴き声のみ。

 

プログラム業務隊に勤務していた時は、走水官舎(観音崎付近)に住んでいました。

この走水から田浦まで、マウンテンバイクで通勤していたのです。(ロードバイクではないので意外としんどい)

距離は13kmで、時間的には気合で35分(シートに座らず全て立ち漕ぎ)、のんびり45分位だったと思います。

馬堀海岸から横須賀海岸通りなど走っていても気持ちが良く、運動不足解消、精神的リフレッシュに貢献していたと思います。

 

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過程学生修業以来、新しく導入されたMOFシステムの艦艇搭載タイプである『C2T:Command&Control Terminal』と呼ばれるシステムの開発に関わってきました。

当時急速に発達してきた汎用コンピューター技術を利用した安価な指揮支援システムであります。

関わったといっても、ドキュメントの見直しや機能試験の調整立ち合いなど開発の周辺部で雑用をこなしたに過ぎませんが。

 

それでも、納期が近づくにつれ忙しさは増加してきて、職場に泊まり込む(床に段ボール&寝袋)ことも有りましたし、夏季休暇返上で20日間連続勤務するなどとにかく職務に没頭してきました。(休める日には当直が当たっていたため)

それで、冒頭にお話しした自転車通勤中の情景が頭に焼き付けられたのです。

小学校の時に遊んだ日光写真のように。

夏休みということもあり、職場でも出勤してくるのはC2Tグループと呼ばれる2係員のみで、なんだか本当に自分たちだけが異次元空間に飛ばされてしまったのではないかという錯覚にとらわれそうでした。(夏休み中の学校に行った時のような感覚)

 

艦艇部隊での不規則かつ過酷な勤務経験があればこそなんとか乗り切ることができたのだと思います。

いわゆる労働基準法には、完全に抵触した労働内容でした。(特別国家公務員なので何でもありです)

 

この部隊の副長の口癖が「血の小便が出るまで仕事しろ!」というものでした。

なんでも自身の若い時の経験上からそういう発言をしていたようですが、冗談としてではなく、本気でそれを要求していたところがちょっとイタイところです。

個人の資質として超真面目なのは理解できますが、管理者としては冗談にしても「ちょっとどうかな」と思っていました。

このタイプの人は、自衛隊には意外と多く存在していて、事故の隠れた要因となっていることもあるのです。(本人は職務に精励しているだけという認識なので、自覚がないのですが)

 

つい、話が脱線してしまいました。元の針路に戻りましょう。

そうやって関わってきたきたシステムが、いよいよ陸上での試験を終了し、艦艇での実装確認試験に移行することになりました。

システムのプロトタイプ機材一式が出荷される日、出勤した係員による帽振れでお見送りです。

この時の感慨はひとしおで、手塩にかけて育ててきた娘を嫁入りさせるような気分でした。

でも、頭の中にリフレインしていたのは『瀬戸の花嫁』ではなく、なぜか『ドナドナ』・・・

 

希望して配属された部隊ではありませんでしたが、幸運にもこのようなシステム改変の節目に立ち会うことができ、様々な経験をさせていただきました。

艦艇部隊では、自分たちの練度維持向上に取り組んでいればよいという、ある意味単純明快な側面もあるのですが、ここでは他部署との駆け引きなども要求され、それは今後中級幹部となっていく上で不可欠な要素でもあったのです。

 

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