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海上自衛隊に限らず、官公庁においては縦割り組織の弊害があることは良く知られています。

何も官公庁に限らず、大きな組織の持つ宿命なのかもしれませんが。

 

同じ部門の結束力という美点が、他部門への排他的な態度という欠点に繋がることも有るということです。

今回は、縄張り意識についてのお話です。

 

プログラム業務隊は1科(指揮支援システム)と2科(艦艇システム)に分かれており、その下に各係が存在していました。

私の所属はプログラム1科2係で、艦艇搭載の指揮支援システムを担当していることになります。

艦艇搭載であるがゆえに、プログラム2科(艦艇システム)の各係とも業務調整する機会が生じたということです。

 

旧SFシステムにおいては、1科と2科は同じ部隊でありながら、さほど接点はなく、あたかも別の部隊であるかのような雰囲気が存在しました。

更にいえば、2科の者にはエリート意識があり、1科の者を見下げるような雰囲気があったのです。(もちろん個人的主観ですが)

この事件(というほど大げさなものではないが)の背景には、そんな部隊の雰囲気が前提となっていたのかもしれません。

 

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さて、艦艇のリンクシステムとの連動機能について調整を担当することになった私は、カウンターパートである2科3係のリンクグループ員と調整を行っていました。

ところが、先方のグループ長から

「挨拶もなしに、俺の装置を使って勝手に試験するな」

とクレームを受けることになります。

「試験をやりたければ、仁義を切れ(挨拶しろ)」

というのです。

 

部隊を挙げて、この新システムの立ち上げに全力を挙げており、司令からも特別に

「各科でよく協力するように」

と指示が出されていました。

そこで1科長は2科長に、2係長から2科の各係長に、2係のグループ長から各グループ長にと、それぞれ立場に応じたカウンターパートに挨拶が行われているのです。

そこで、担当係員の私は、同じく担当係員に調整し作業を進めようとしたのです。

 

私にしてみれば、一係員が自分よりもレベルの高い立場である人に対して『挨拶』するなど、僭越だという思いがありました。

逆に私が上の立場で、格下の相手が『挨拶』などしてきたら

「何様のつもりだ?お前の相手は違うだろっ」

と感じたでしょう。

この辺りは個人の感覚の違いもあるし、その時の状況によって解釈は変わってくるとは思いますので、正解というものはないのかもしれませんが。

 

ですが、今考えると

「相手の面子に配慮する必要があったなあ」

と思います(まさに若気の至りです)

 

経験不足に起因する、人間の感情に対する配慮が不十分だったと言わざるをえません。

この『面子』というキーワードは、本当につまらないことですが、これに配慮して物事を進めること(いわゆる根回し)を覚えると、諸事万端円滑にゆくようです。

 

まさにこれが、中級幹部以上に求められることでもありましょう。

初級幹部から中級幹部への過渡期にいた私には、そこが理解できていなかったのでした。

事実、中級幹部になってからこの『面子』に関する事態に直面することが増えてきますが、最初の学習が功を奏したのか、次第に上手く裁くことができるようになります。

誠意を持って、かつ、相手に気持ちよく仕事してもらうことこそ肝要だと学んだのでした。

 

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