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佐世保海上訓練指導隊の指導部対潜戦術訓練指導班に配属となりました。

前回の記事でも紹介した、護衛艦の環境を模擬し対潜戦術科能力向上を目的とする訓練施設運用部隊です。

同じ佐世保の部隊ということもあり、私の事件についてどこまで知っているのだろうかという心配があったのですが、それは杞憂に終わりました。

おそらく全ての事情を了解した上で、暖かく迎えられたのです。

 

そうなると次に心配になるのは自分の術科練度についてです。

私の特技は水雷幹部なので、指導の対象は水雷長(水雷士)と水測員のチームになります。

水雷長としての勤務は過去に「てしお」「はたかぜ」と2配置を経験していました。

このため、ソナーを使用したアクティブ戦術に関しては自信がありました。

しかし、ソノブイなどを使用したパッシブ戦術に関しては、中級水雷で学んだだけで実務経験に欠けていたのです。

不安を持っていたのは、まさにこの点に関してでした。

 

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訓練施設部隊の特色として、術科競技(各艦の術科能力について競争するもの)などの時期が近づくと訓練希望が殺到し多忙な日々が続くこともありますが、逆に全く訓練予定のない閑散時期もあります。

そういう日は、指導官チームの術科練度維持訓練を実施します。

幹部中級学生の頃も施設利用訓練を行っていましたが、各配置に学生が順番に交代しながら実習を進めるため、全体としてぎこちないものになります。

しかし、ここではそれぞれ術科のエキスパートである指導教官(幹部、海曹)が配置に就いているため、指揮官として自分の練度向上だけを意識していれば良いという点で非常に楽でした。

 

この感覚はスキーなどをする際、良い雪質のスキー場に行ったり、良いスキー道具を装備した時のものと似ています。

「ひょっとして、上手くなってる!?」

と勘違いしてしまいますが、単に外的要因が強力であるだけなのです。

あの環境(スタッフ)であれば、誰が指揮官をやってもバッチリ潜水艦を撃沈できてしまいます。

 

とはいえ、そういう贅沢な環境で繰り返し訓練すれば、術科練度は飛躍的に向上します。

苦手意識のあったパッシブ戦術も、僅かな期間でメキメキと実力をつけて自信を持てるようになりました。

自分が繰り返し訓練をすることは、指導する上でも有益です。

陥りやすいミスはどこにあるのかをはっきりと認識することができるからです。

 

自分自身の術科能力向上とそれによって体得した知識や技能を指導していくという職務は、雑念が少なく非常にやりがいのあるものでした。

そして、ここでの教官としての指導経験が、この後の勤務に非常に役に立ったのです。

 

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